「目が覚める」すると、自分なりの勉強方法が身に付く

 自分に自信をもち、とことん遊び込み、国語力が育っていて本を読む力のある子であれば、多くの場合14歳で目が覚める瞬間が訪れます。それはつまり、脳が活性化し、物事の本質が分かってくるということです。そのとき、勉強の仕方も分かるようになります。具体的に言うと、自分で問題集を使って勉強できるようになるということです。

 まずは問題を解く。分かるものも、分からないものもあるだろうけれど、真剣に考えて解く。次に自己採点して、間違えたものはなぜ間違えたのか理解する。理解できなければ、学校の先生なり、塾の先生なりに質問する。そして、さらに少し時間をおいて、前回できなかったものをもう一度解く。それで解けるようになる。

 至極当たり前の学習方法ですが、すべてのステップをしっかりできることこそが中学・高校の勉強方法の真髄です。

 この方法には、2つの大きなメリットがあります。ひとつには、自分なりの勉強のコツがだんだんつかめてくることです。自己流のゴロ合わせを考えたり、ノート整理を工夫したり、音読して理解したり。自己流の勉強方法は、大学受験までずっと使えるのです。

 もうひとつは、塾で集団授業を受けるよりも時間を短縮できるということです。塾なら3時間かけてやることが、一人なら1時間で終わります。

 自分なりの勉強方法が身に付けば、成績は確実に伸びていきます。それとともに、考える力もつくし知識も定着する。そう、アタマが良くなるのです。

学力をつけることは、生きるうえでの「武装」なのだ

 子どもがなかなか目覚めない場合、なぜ勉強するのかを、子どもに届く言葉で説明してください。数学ができない、国語力がない、英語が理解できないということが、生きていくうえでどれだけ不利になるのか、学力や知識がどれだけ自分を守ってくれるのか、ということを話してください。

 この社会には、あわよくば人からお金を巻き上げようとしているやからがいます。法律に触れるやり方もあれば、触れないものもありますが、知らなければ落ちてしまう落とし穴は今後の人生でいくつも遭遇するでしょう。アタマがいいということは、武装するということなのです。そして、アタマがよくなったほうが人生は確実に楽しいのです。

 私はよくこう話します。

 きみは、この世にたった一人の存在だ。きみによく似た弟がいるけれど、どんなに似ていても弟はきみじゃないだろ? きみは自分という人間を使って、壮大な「人体実験」をしてるんだ。だから、きみだけがもっている特殊性を顕現させれば、最高に面白い人生を選び取ることができる。そのためには、基礎学力が必要だ。アタマが良くなると、人生は面白くなる。それは、いい高校や大学に入るってことではない。自分の人生を最高に楽しむための「武装」なんだ、と。

 そこで目がキラリと輝く子は、目覚めます。逆に、そうならないうちはいくら教えても壁があって届きません。本来、教育は「目覚めさせること」からスタートすべきだと思うのですが、それができる学校も塾もほとんどありません。家庭でわが子を目覚めさせるしかないのです。

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