セール品に惑わされるな!

―― なるほど。そうだったんですね。色々分かってくると、なんだか服を買いに行きたくなってきました! そういえば、買い物の際も注意点はありますか。

MB これはただ一つです。バーゲンなどのセール品に惑わされないこと。

 定価1万円のものが50%OFFだと5000円ぶんお得だ! と思うかもしれないですが、それは消費者にそう判断された結果として安くなっているんです。つまりセールで5000円になっている商品は、基本的には5000円の価値しかないということです。

 なぜなら、3カ月、4カ月と店頭に並べていて誰も手に取らなかったものが安くなっているから。そのことを理解しておかないと、バーゲンに踊らされるだけで、価値あるアイテムは何も手にすることができません。

 もちろん、セールになっている商品の中にも、値打ち品が全くないわけではありません。いい商品なんだけど、たまたま大量に作り過ぎて余っているということもあります。ただし、その場合でも、もともと価値のあるものが安く出ているんだから、セールが始まればすぐ売り切れるはず。

 ということは、もしセールに行くのであれば、開始から1週間以内には行かないと意味がありません。それでも残っているものは、購入する価値はない服と言っていいでしょう。

―― トレンド物ではない定番品なら、来年用に買っておいてもいいということにはなりませんか?

MB 洋服には必ずトレンドがあります。ブランドの定番品であっても、全く変わらず同じものを出し続けているということはほとんどないはずです。毎年、素材や加工、縫製、シルエットなど、どこかを微妙に変えています。10年前にはやったファッションが、今も変わらずカッコいいということは、基本的にはありません。

 そもそもファッションって、差別化できることが価値なんです。他人と違うから評価されるのであって、時間が経てば当然それは一般に広まる。そうすると差別化できなくなって、相対的に価値が落ちるわけです。次はまた新たな別のものが価値を持ち始めます。どんな伝統的で保守的なブランドでも、トレンドを全く無視することはありません。

 だから、セールで服を買うのは、実はすごく無駄なんです。早い時期に買って、なるべくその価値を長く享受するほうが本質的にはお得なんです。

―― 多忙な日経DUAL読者は、実店舗ではなくアマゾンやゾゾタウンなどインターネットの通販サイトで服を買う人も多いです。ネット通販で服を買うときの注意点やコツはありますか?

MB 返品を恐れないことですね。今は返品を受け付けてくれるショップも多いので、返品前提で買ったほうがいい。例えば、ゾゾタウンは送料さえ負担すれば返品を受け付けてくれますし、ユニクロも通販で買ったものを近くのお店で返品することができます(いずれも一部商品を除く)。

 企業も返品されることを踏まえて販売価格を設定しているわけなので、気に入らなかった場合は権利を行使して返品したほうがいいと思います。これは実店舗での購入でも同じことですが、後でやっぱりサイズが合わなかったり、イメージと違うなと思ったりしたものを、しょうがないと妥協して受け入れていると、いつまで経ってもオシャレになれません

 人から「あの人オシャレだな」と思われるようになると、必ず人生は変わります。「外見より内面」という人もいますし、それはもちろん大事なことです。しかし、どんなにきれいごとをいっても、人はまず外見で第一印象を受けるのは事実。内面のカッコよさよりも、外見のカッコよさを得ることのほうが、ロジックさえ分かれば簡単なことなのです。

 ぜひ一度、僕がご提案した方法を試してみてほしいと思います。