政治への参加意識が強まるかもしれない

駒崎 そうです。IKEAの家具って自分で組み立てないといけないじゃないですか。面倒くさいんですよね、結構。でも、頑張って組み立てて完成すると、すごく愛着が湧く。政策も同じようなものだと思います。

須賀今村 なるほど(笑)!

駒崎 実行の面でも格段に機能しやすくなるはずなんですよね。自分で途中から参加していて愛着もあるから、多少の不便はあったとしても「とりあえず使ってみるよ」となるし、より良いものにしようとする。現場にありがちな「せっかくいい制度があるのに、現場に届いていない」という“政策のラストワンマイル問題”も解決されるはずです。そういった相互作用があることに、我々も気づかないといけない。

今村 おっしゃる通りかもしれませんね。

須賀 短期間で試行と改善を繰り返して精度を高める「アジャイル・ガバメント」というものを、ずっとやりたいと思ってきたけれど、どうやったらそれができるのか分からなかったんです。今回やってみて、「そうか、答えをセットにせず、問いかけだけで始める方法もあるんだ」と気づきました。

駒崎 すごく面白いし、国民側にもなかった発想ですよね。政策に対してはいつも無意識的に受け身で、享受する側、批判する側だけに立っていたけれど、そうじゃないほうが自分たちのためにもなるかもしれないと。それを官僚側から投げかけられたという衝撃。

須賀 さじを投げた、と受け取られるかも?

駒崎 いや、国民側からすると、自分たちにとってより有効であればそのほうがいいんですよ。官僚とはこういうものだという「べき論」にこだわるのはナンセンス。官僚道なんて、全然大事にすべきことではないんだから。要はこれからの世の中がうまく機能するかどうかでしょう。

――「下」編に続きます。

(文/宮本恵理子 撮影/鈴木愛子)