優先順位は何?の問いを投げかけたかった

駒崎 内容は多岐にわたるので一言では総括できないとは思いますが、僕なりの解釈としては、これまでの第二次産業(製造業)ベースでの社会構造では通じない、これからの時代の新たな仕組みの転換を訴えるメッセージだったと思います。そして、その社会課題を国だけが主導するのではなく、もっと民間を巻き込む形で解決していこうと。

須賀 まさにそういうことです。「製造業で国が稼ぐ」という前提に基づいた終身雇用や投資の構造から脱却しないといけないという危機感が、ベースになっています。ただし、それを駒崎さんのようにすぐに理解してくださる人ばかりかというとそうではありませんでしたが。

駒崎 一番言いたかったことはなんですか?

須賀 言いたいというより、「問いたい」というスタンスなのですが、プライオリティーの話をしたいと思いました。子育て支援を手厚く、というと「年金支出がどんどん増えるんだから財源がない」と当然のように削られる。それに慣れ切っているけれど、本当にその優先順位でいいんでしたっけ?と根本的な話をしたいと思いました。財源とはあえて切り離して、ゼロベースで「何を大事にするべきか」を考えようよと

駒崎 なるほど。「そもそもこれでいいんですか?」と、問いを投げかけたわけですね。

須賀 問いを投げかけてみたところ、「将来世代への投資のほうが大事なのは当たり前」という賛同意見が予想以上に多かったんです。私たちにとって発見であり、勇気付けられましたね。さらに最近ではシニア層にもヒアリングを重ねていて、つい先日もクールシニア推進機構の方々とお話をしたのですが、「我々を弱者扱いしないでほしい」というご意見でした。もしかして、これまで通説のように捉えていた世代間対立というものも、そもそもないのかもしれないとまで思えてきました。このような発見そのものが大きな収穫だと思っています。