みなさん、こんにちは、治部れんげです。とても暑い日が続いていますが、体調を崩していませんか? 夏休みに仕事や日常から離れ、少しゆっくり考える時間を持った方も多いと思います。今回は、家族形成やキャリアについて「自分で決める」ことの大切さについて考えます。

子どもを持つのも、働くのも個人の幸せのため

 最近、少子化対策の観点から子育てを語り、経済再生の文脈で女性活躍を語る場が増えています。そんなわけで私も「仕事と育児の両立」や「男性も女性も働き続けること」をテーマに講演する機会がありす。

 誤解されることが多いのですが、子どもを持つのも仕事を続けるのも、政府や社会のためではなく、個人の幸せのためだと私は思います。確かに出生率が2を切る社会では、人口が減っていきます。女性も働けば納税者が増えて財政が潤います。

 ただ、私たち一人ひとりは、子どもが欲しいから持つのであって、少子化対策のために子育てをしているわけではありません。育児中の女性が働くのは、自己実現や社会とのつながりや、収入を求めているのであって、GDPを上げるためではありません。

 子育てや仕事が「国のために大事」と言われる今だからこそ、これは「自分でやりたいからやる」という発想を強く持つことが必要だと思います。

 私は、子どもを持つかどうか、そもそも欲しいと思うかどうか、仕事を続けるかどうか、といったことについて、他人から尋ねられても、答える必要はない、と考えています。特に人の自己決定を尊重できない人ほど、善意の押しつけで色々なことを言ってきます。その時は、ぜひ、勇気をもって無視してほしい、と思います。

 「なぜ、結婚したくないか」「なぜ、子どもを持たないか」「なぜ、仕事を続けるか」「なぜ、家庭に入るか」「なぜ、離婚したのか」……。いずれも、あなたが、あなたのパートナーと共に決めることであって、それ以外の人にとやかく言われる筋合いはありません。

 そうは言っても、無視するのは難しい……と思うかもしれません。こうしたことについて、うるさく尋ねてくるのは親族や上司など、目上の人であることも多いからです。無視が難しい場合、嫌なことを聞かれたら、ゆっくり3回、深呼吸してみてください。その間に時間が経ちますから、答えずに済むかもしれません。

 くれぐれも、上手に答えようとか、相手を納得させなくては、と考えないでください。こうしたことについて、あなたが他人に説明する責任はありません。人の心に土足で入ってくる人に「靴をそろえてください」と言うのは無駄なので、黙ってその場を立ち去り、自分の心を守る権利が自分にはある、と知ってほしいと思います。