ぜんそくやアトピー性皮膚炎など子どもの慢性疾患は、定期的な通院が必要になることも多く、多忙な日々を送る共働き世帯には、通院・診察の時間が大きな負担になる。子どもの病院通いのために仕事を休んだり、貴重な休日の半日を費やしたり、ということも少なくない。そんな負担を軽減してくれるのが、オンライン診療(遠隔診療)。メリット・デメリットや、実際の小児科での利用事例について話を聞いた。

予約から診療・決済までオンラインで完了

 オンライン診療(遠隔診療)とは、医師に直接対面することなく、パソコンやスマホを介して診察を受けて、薬や処方箋がもらえる仕組みのこと。ネット環境があれば、自宅など好きな場所で診察が受けられるので、時間の効率化につながる

 オンライン診療は、長年にわたって「離島や僻地の患者を対象にしたもの」というイメージが強かったが、2015年の厚生労働省の通達によって、都市部でも事実上解禁され、オンライン診療システムを提供するベンチャー企業の参入が相次いだ。

 オンライン診療アプリ「CLINICS(クリニクス)」は、全国で500以上の医療機関が導入しているシェア一位のシステム。CLINICSを使ったオンライン診療の流れはこうだ。

① 予約

 患者がネットで診察の予約を行う。あらかじめネット上で問診票を記入する。

② 診察

 予約した時間になったら、ビデオチャットを起動して医師の診察を受ける。ネット環境があれば、どこにいても受診可能。必要に応じて、カメラで患部を写し、確認してもらうこともできる。

③ 会計

 予約時に登録したクレジットカードで、診察料はオンラインで決済される。

④ 薬・処方箋の配送

 処方された薬や処方箋は、後日配送される。

 検査や処置など、対面でないとできない医療行為は多いため、オンライン診療を導入しているのは、禁煙外来、AGA外来、花粉症外来などが多いが、小児科の活用事例も少しずつ増えている。小児科でCLINICSのシステムを導入している医療機関は、全国で28(7月31日時点)と増加中だ。

 しかし、症状が急変することのある子どもの場合、オンライン診療で本当に大丈夫なのか?という不安はある。