「3歳児健診で弱視と言われた」「3歳児健診で乱視が発覚してめがねを作った」などという話を聞くことはありませんか。あるいは「少し視線が、ズレているような気がする」「会話をしているときは、遠くにいても聞こえているのに、テレビにはやけに近づく」など、「もしかしたらうちの子、目が悪いのかな?」と思うことがあるかもしれません。

 育児書などに、新生児は視力が十分ではないという話が書いてあると思いますが、ではいつごろまでに、成人並みの視力が育つものなのでしょう。詳しく検査を受けて、治療しなければならないのはどんな症状のときなのでしょう。

 未就学児の気になる発達について、「もしかしたら」の疑問の中から、今回は「視力の発達」に関わる「斜視」や「弱視」について、駒込みつい眼科院長 三井義久先生に伺いました。

【年齢別特集 保育園のママ・パパ向け】
(1)声が大きい、聞き返しが多い子には難聴の恐れも
(2)普通の子に潜む斜視・弱視 就学前までが治療の勝負 ←今回はココ!
(3)幼児期の肥満は持ち越すので早めの軌道修正を
(4)未就学児の発達障害 早期発見・介入で改善へ

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学生低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

目の成長、生まれてから就学前までが勝負

駒込みつい眼科(東京都文京区) 三井義久(みついよしひさ)院長。北里大学医学部卒業、北里大学眼科入局、清水市立病院眼科、北里研究所メディカルセンター病院眼科、せきや眼科、みつい眼科開設。文京区眼科医会会長
駒込みつい眼科(東京都文京区) 三井義久(みついよしひさ)院長。北里大学医学部卒業、北里大学眼科入局、清水市立病院眼科、北里研究所メディカルセンター病院眼科、せきや眼科、みつい眼科開設。文京区眼科医会会長

 自分たちが子どものころより、めがねをかけている子どもが増えているという印象はありませんか? 小学生以上であれば、成人同様に「近視」の矯正のためにかけているケースが増えるのですが、実は未就学児の段階では「斜視」「弱視」の治療のためにかけているケースが多くあります。

 駒込みつい眼科院長 三井義久先生は、「子どもの目は、身体が大きくなったり言葉を覚え発するようになったりするのと同様に、生まれたときから機能しているわけではなく、成長していくものです」といいます。

 成人の目の長さ(眼軸長)は約24mmですが、出生時の子どもはこれが17mm前後です。目の長さは3歳前後で約23mmと、ほぼ成人の長さに達します。ちなみに眼軸長が長くなると近視になり、短くなると遠視になります。

 「もし成長過程において異常があると、目の正常な発達が望めない場合もあるため、早めに発見し、治療する必要があるのです」と三井先生は言います。

 「目の成長過程における異常」のなかには治る可能性のあるもの、放っておくと十分に視力が育たなくなるものがあります。その原因として「斜視」と「弱視」が挙げられます。

 学術的には子どもの目の成長は生まれたときから8、9歳くらいまでと言われますが、実際には「小学校入学前くらいに視機能が大きく成長しますし、目に異常がある場合の治療は、就学前をゴールの目標に据えるんです」と三井先生。

 そう、小学校入学前までが、目の成長の勝負時なのです。

子どもの視力は2歳で0.4、0.5くらい、3歳で0.6、0.7くらい

 「子どもが生まれたときからよくモノが見えてるのかと聞かれれば、それはもちろん“NO”ですね。視力は生まれたときから1.0出ているわけではありません。2歳で0.4、0.5くらい、3歳で0.6、0.7くらいを目安に、診療では見ています」

 子どもの目の成長には視器という目の道具と、視機能の両方の発達が関わりますが、視器は生まれる前にほぼ完成していると三井先生は言います。

 「例えば“視神経”は胎生8~9カ月に完成しますし、カメラに例えるとフィルムに当たる、眼底一面に広がる薄い膜状の組織“網膜”は、特に視細胞が密集している中心部の“黄斑部”以外は胎生9カ月までに完成します。また黄斑部も生後2~3カ月には完成しますし、“水晶体”(カメラでいうところのレンズに当たる)は10~12歳で成人と同じになるとされています(厚さ約3.6mm、直径約8.8mm)」

視機能発達の条件

(1)適切な視的環境
(2)子どもの生体条件:正常な眼位、屈折状態
         明視を妨げる中間透光体の異常(白内障など視界をさえぎる異常)
         視路、中枢に異常がないこと

 一方、視機能は小学校入学前くらいまでに、光の刺激を受けながら一つひとつ学習し、発達していくものだと言い、「視機能の発達は、中枢神経系の発達と協調作用があって初めて達せられるものです。外界からの情報の80%は視覚を通して得られますので、徐々に刺激を受けたり見たりすることによって脳の神経系も発達します」。

 ところが斜視や弱視といった異常があると、それが妨げられてしまうわけです。

 では、斜視とはどんな状態なのでしょうか。

<次のページからの内容>
・ 眼の位置のずれが斜視。子どもは“偽斜視”も多い
・ 立体に見る機能が発達せず、階段の段差が分からなくなる!?
・ 目の向きが左右同じでないと感じたら受診を
・ 遠視や乱視が強過ぎると弱視に?
・ どのようにチェックすればいい?

次ページから読める内容

  • 眼の位置のずれが斜視。子どもは“偽斜視”も多い
  • 立体に見る機能が発達せず、階段の段差が分からなくなる!?
  • 目の向きが左右同じでないと感じたら受診を
  • 遠視や乱視が強過ぎると弱視に?
  • 目で物を追う? 片目を隠して泣いてしまわない?

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