保育は「多様化」している
かつて保育園といえば、認可の公立保育園・私立保育園のことで、私立保育園は社会福祉法人が運営するものが大半でした。
今、認可の保育施設・事業といわれるものの中には、就学まで通える認可保育園・認定こども園のほかに、3歳未満児を対象とした小規模保育・家庭的保育・事業所内保育などがあります。
さらに、市区町村によっては、自治体が独自に助成している認可外保育施設(認証保育所、横浜保育室など)がかなりの数で設置されています。2016年からは国が助成金を出す認可外の企業主導型事業所内保育所も少しずつ増えてきました。
待機児童対策をフレキシブルに行うために、様々な制度がつくられてきて、確かに量を増やすという点では成功しているように見えます。
こうして急激に保育園が増えた結果、保育士不足が深刻になるとともに、保育の中身、質も多様化してきています。これから保活をする人は、認可も認可外も、様々な園があるということを前提にする必要があります。
見学者は見た!
「保育園を考える親の会」の会員アンケートで、保活で見学した保育施設に「ここには預けたくない」と思ったことがあるかどうかを尋ねたところ、「ある」と答えた人が7割にもなりました。最近保活した人ほど「ある」と答えた率が高く、2016年度では90%に上っています。その背景には、保活が過熱して見学する施設の数が多くなったこともありますが、同時に、保育施設が多様化していることもありそうです。
実際には、どんなことが気になったのかという回答を抜粋すると…。
「新設マンションの一角で、かろうじて赤ちゃんたちが生活できているようなスペースの狭さ。20代と思しき若すぎる園長先生を見て、子どもを預けるにはあまりに心もとないように感じた」(認証保育所)
「掃除が行き届いていない。事務員が机に足を上げていた」(認可保育園)
「1歳児にお絵描きをさせ、飽きた子どもややらない子どもにテレビを見せていた」(認証保育所)
「狭い。赤ちゃんはベビーベッドでフロアは大きい子でいっぱい。赤ちゃんが安全に腹ばいで遊んだりできなさそう」(認証保育所)
「狭い。沐浴施設があるが使われた形跡がない、子どもに対応する大人が少ない」(認証保育所)
「0・1・2歳が同じ部屋で狭そう。うるさそう」(小規模保育)
「マンションの1階で、狭いところに子どもが詰め込まれているような印象。部屋の中もどことなく暗い印象でホームページの印象とは違っていた」(認証保育所)
「保育方針が独善的で偏っていた。職員が挨拶もできずに暗い雰囲気が漂っていた。保育士が両手に哺乳瓶を持って2人同時に授乳していた」(認可保育園)
「質問をしても『入園が決まったら説明する』と言われて具体的な話が聞けなかった」(2015年当時は認証保育所だったが、現在は認可保育園になっている)
「ホームページにベビーセンサーを付けているとうたっているのに、見学した際に質問したらベビーセンサーとは何のことか?と返答された」(認可外:区の定期利用・一時保育事業施設)
「荷物が山積み。地震があったらなだれが起きそう。0歳の赤ちゃんがふかふかのベッドにうつぶせ寝。1~6才までが狭い空間に雑魚寝をしていた」(認可外保育施設)
これらの感想は、どれも重要なことを指摘しています。