体を動かすことは脳も活性化させる!

 学校には校庭がないので、約1㎞離れた公園まで歩き、そこで体育の授業をします。自分で思った通りに体を動かすことは実は難しく、急に右手を挙げて、左手を回してといわれても、とっさにすぐ動けなかったりします。それは体を動かさないとできるようにはなりません。また、一流のアスリートは地頭がいいと言われます。海外ではオリンピックのメダリストが競技を引退した後、医師や弁護士になるといったことも珍しくありません。体を動かすことは脳の発達に重要なこと。きちんと座って授業をおとなしく聞く時間も大事ですが、頭を使いながら体を動かすことが必要なんです。

 今月の授業のテーマは「跳ぶ」。最終的には走り高跳びをします。その前段階で、思ったようにジャンプできるようになる訓練をするわけです。障害物を飛び石のように置き、1つおきに飛び越えたり、足を開いてまたいだりするというもの。これも、ぼんやりしていると1つおきにならなかったり、うまくジャンプしそびれたり、思った通りに体が動かなかったりします。

基本ははだし、足裏の感覚を鍛えます。子どもは体重が軽いので、石などを踏んでも大きなケガにつながることは少ないそう。
基本ははだし、足裏の感覚を鍛えます。子どもは体重が軽いので、石などを踏んでも大きなケガにつながることは少ないそう。

1つおきに足を開いて障害物をジャンプしながら進むのも、頭を使わないと体は動きません。
1つおきに足を開いて障害物をジャンプしながら進むのも、頭を使わないと体は動きません。

今月のテーマ「跳ぶ」の最終目的は高跳び。この日は挟み跳びを練習。
今月のテーマ「跳ぶ」の最終目的は高跳び。この日は挟み跳びを練習。

転んだら痛いし、痛かったら手当てしてほしいと自分から言うルール

 体育の授業では、もちろん転ぶこともあります。そんなとき、子ども同士で「大丈夫?」と声をかけたり、手を貸したりといったことはしますが、先生は見守るだけ。基本的には本人が「ケガをしたから手当てしてほしい」「少し休んだら、また頑張る」といったことを自発的に言い出すのを待ちます。見ていてあきらかな大けがの場合は別ですが、多少すりむいた、ぶつけたというくらいなら、本人が言い出すのを待ちます。これは、将来海外に行く・行かないは関係なく、自分がどうしたいか・どうするのがいいのかを考えて行動する大人になってほしいという方針からでもあります。先生のほうから「大丈夫?」という声掛けはしないのです。

 また、転んだら遅れてしまうわけですが、そういうことも含めて、転ばないように気を付けて走ることを学ばせます。遠足で広い自然公園などにも行くのですが、自然は自分に合わせてくれません。自分を自然にどう合わせて、危険がないように歩いていけるかが大切。転ぶ=失敗したら、そこからどう立ち上がるのかについて、体を使って学ぶことも体育の授業の一環です。

転んだら、その後どうするかを決めて立ち上がることが自分の力に。
転んだら、その後どうするかを決めて立ち上がることが自分の力に。

ランチタイムは、体育の授業の続きでそのまま公園で

 天候にもよりますが、ランチは外でということがよくあります。お弁当を持ってくる子もいれば、スクールランチを注文している子もいます。体育の授業が終わるころに、スタッフがランチを届けます。ランチタイムと昼休みは、子どもたちは英語で話す約束。うっかり日本語でおしゃべりが始まると、先生やスタッフが「English please!」と注意することも。班行動ということもしないので、自由に好きな人や外国人の先生と、英語で会話しながらとランチを食べます。

 食後は、自由に公園で遊びますが、時々危なっかしい遊び方をしていることも。それでもできるだけ最初から制限することはしません。様子を見守り、「Look around!」(周りをよく見て)と声をかけるだけ。これも、10人ほどの子どもに対して、大人が3人は必ず見ているからできることかもしれません。少人数制のいいところだと思っています。

ランチタイムも楽しく英語で会話。
ランチタイムも楽しく英語で会話。

先生がそばにいなくても、子ども同士のコミュニケーションも英語で。時々うっかり日本語で話していると、「English please!」と誰かから声が。
先生がそばにいなくても、子ども同士のコミュニケーションも英語で。時々うっかり日本語で話していると、「English please!」と誰かから声が。