名所や美術館には行かなくていい

 出発は4月上旬にし、日程は夫と相談して「土日含めて5日間」と決めました。2泊3日では移動ばかりになって長男が楽しめない気がしたのと、次男を置いていくことを考えると5日間が妥当という判断からです。

 難しかったのは行き先選びでした。観光名所を回るのは疲れそうだし、美術館なら東京にもある。リゾートは家族で行けばいい。夫婦で相談を重ねながら、長男にこの旅で体験させたいのは「日本では感じられない、海外の街の雰囲気」という結論にたどり着きました

 地元の人に混じってバスに乗ったり、スーパーで買い物をしたり、食事をしたり。すれ違う人が外国語を話し、標識もお店の看板も日本とは違うということに気づいて、何かを感じてもらえれば十分でした。

 当初は何度か行ったことがある東南アジアの都市部を検討しましたが、気候や食べ物が合わなかった場合に長男が体調を崩すのではないかという心配が出てきました。そんなとき、子連れでハワイによく行く友人から、「羽田発夜便を使うと寝ている間に現地に着いて楽だよ」という話を聞いて「羽田発 夜便」で検索したところ、北米やヨーロッパにも就航していることが判明。その中でも強く惹かれたのが、バンクーバーでした。

 これまで様々な国へ旅行してきましたが、実はアメリカやカナダにはまだ行ったことがなく、私にとっても初体験の場所。写真で見た街並みの美しさに目を奪われ料金を調べると、東南アジアとさほど変わらない手ごろさ。繁忙期ではないうえに、世界遺産やこれといった観光名所がないということもあるのでしょうが、「世界を見る」という目的は、バンクーバーで十分果たせるのではないかと思いました。

 旅行代理店を通して、土曜日発・水曜日着、フライトとホテルだけがセットになったパッケージツアーを予約。21時50分発の便なので、離陸したらすぐ寝かせて約9時間後に到着の予定です。現地との時差が16時間あるのが心配でしたが、土曜日は丸一日遊んで飛行機でたっぷり寝かせるので問題はなさそうです。長男の「世界に行きたい」という発言から約1カ月後に、行き先が決まりました。

バンクーバー郊外から市街地へ戻る船上からの光景。バンクーバーの美しい街並みがはっきり見えました。バス、電車、船と、現地の人に混じっていろんな乗り物に乗りました
バンクーバー郊外から市街地へ戻る船上からの光景。バンクーバーの美しい街並みがはっきり見えました。バス、電車、船と、現地の人に混じっていろんな乗り物に乗りました