子どもの「探究心」を刺激する遊びは日常にある

 大人はついつい「遊び」と「勉強」を分けて考えてしまいがちです。でも、子どもにとっては、「探求活動」そのものが「遊び」なのですよね。そう考えると、子どもたちは日常生活でも「どうしてかな?」「どうなるのかな?」と様々な疑問を感じていますから、探求したいテーマは子どもたち自身の中にたくさんあります。夏休みこそ、そのテーマに親子でゆっくりと向き合い、子どもの探求活動にスイッチを入れてあげられるチャンスです。プールへ行ったり、遊園地へ行ったりすることだけが遊びではないのですね。

 幼児期のお子さんであれば、テーマを一つ決めて、そこから遊びを展開してみましょう。

 例えば、お子さんがスイカが好きであれば、「スイカ」をテーマに探求してみるのも一つの手です。(1)スーパーにお買い物に行ってみる。(2)種類によって色や形の違いを知る。(3)スイカ割りをする。(4)食べてみる。(5)デザートを作ってみる。(6)絵を描いてみる……など、「スイカ」という1つのキーワードから展開していける遊びがたくさんあります。

 そうやって遊んでいるうち、子どもたちの中に「スイカはどうやってできるんだろうね?」と疑問が湧いてきたら、一緒に図鑑などで調べてみましょう。「分かった!」という気持ちを経験するところまで付き合ってあげられるといいですね。自分で問いを立て、仮説検証をすることを、遊びの中で自然に経験することができます。

 以前、私のお教室で、「紫のトマトがあるらしい」ということをどこかで聞いてきたお子さんがいました。「じゃ、近所のスーパーに探しに行ってみよう!」ということになり、みんなでいくつかのスーパーを探して回ったのですが、どこにもありません。ある保護者の方が、「駅前のスーパーにあったよ」と教えてくれたので、みんなでバスに乗って探しに行きました。スーパーでようやく発見したときの子どもたちの喜びようといったら! 早速買って帰り、「赤いトマトと紫のトマトの味比べをしてみよう!」と、みんなでわくわくしながら味見をしてみました。

 ここまでのプロセスを一緒に楽しんできた子どもたちの感想は、本当に面白いものです。あるお子さんは、「せんせい、赤いトマトじゃないとトマトを食べてる感じがしないね」と表現してくれました。子どもたちの「問い」や、大人にはない独特の感性から、私たち大人が学ぶことがたくさんありますね。

 小学生であれば、過去の記事「親の『ネガティブイメージ』勉強ギライを作り出す?」でご紹介した「知識マップ」を、一緒に作ってみるのもおすすめです。

 例えば、野球が好きなお子さんなら、野球に関連することを連想ゲームのようにどんどんイメージしていきます。最初は乗り気でないお子さんも、好きなことから考えていくうちに、きっと色々と思い浮かんでくるはずです。ポジションの種類、ピッチャーが投げるボールの種類、野球の歴史、アメリカと日本の違い、球場の種類や大きさ……。たくさん出てきた中から、より詳しく調べてみたいテーマを決め、それをまとめるだけでも立派な自由研究になります。球場の見学に行ってみる、というのも楽しい遊びの一つですね。