自分が担当する取引先に男性数名が勝手に営業アプローチを……

 次に、不動産という業界には、先を走る女性リーダーが少ないと言うBさん(日系/不動産/取締役/40代)に、「情報戦の中で“男女差”を感じたことがあるか?」という質問をメールで投げかけてみたところ、そのプロセスにおいて疑問を感じた経験があるとの回答でした。「立場上、社長に入る情報はほぼすべて共有されるため、最終的に情報が得られないということはありませんが、例えば、私が主担当である取引先に対して、男性取締役数名が営業アプローチを掛け、その重要な会合が催されることを前日になって突然知らされたという経験があります。前夜にメールで知らされた状況に憤怒し、配慮を願う内容の返信をしたところ『まぁ、ムキにならずに』という内容の回答があり、社長が仲裁に入るという場面にまで展開してしまいました」。

良くも悪くも目立つ女性。男性上司からの嫌がらせも珍しくない

 「男性上司から妬まれ、嫌がらせをうけたこと」という項目を選んだ人も少なくありません。Cさん(日系/レジャー/経営企画/部長/40代)は言います。「全く身に覚えのない失態を私の責任として報告されたり、逆に、私の成果を上司自身や他の人間の成果として報告されたり、数年にわたって露骨な嫌がらせを受けたことがあります。私が昇格することでその上司自身が降格してしまう可能性のある構造にあったので、仕方のないことだと割り切って臨みましたが。ただ、良くも悪くも女性は目立つので、必要以上に警戒されてしまうというのが残念ではありました」。

 また、妊娠時に「プロジェクトメンバーから外される」という嫌がらせをうけ、やるせない思いをしたという人もいました。

 一昔前の話のように聞こえますが、これらはすべて、組織の中で実績を積んで上のポストを手に入れた女性エグゼクティブの最新の生の声です。この課題を私たちはどう解決すべきなのでしょうか。

 次回は、リクルートエグゼクティブエージェントのコンサルタントとして各業界のエグゼクティブの実態に詳しい森本千賀子さんに、解決策を伺っていきます。

【調査について】

2017年1月31日~7月31日に日経DUAL、日本女性エグゼクティブ協会(JAFE)、昭和女子大学が共同で行った。34~70歳の女性エグゼクティブ135人(JAFE会員)が回答。

(編集/日経DUAL編集部・小田舞子、編集協力・ライター/砂塚美穂、イメージカット/iStock)