先生も名刺を持ち、名前で呼ぶ

 「子どもと対等でありたい、という気持ちをみんなが徹底しています。子どもたちが先生のことを名前に“さん”をつけて呼ぶのも、人間としての上下関係をつけたくないからです。人生の先輩ではありますが、子どもから学ぶことも多くありますし、あくまで対等なのです」

 先生たちも茶色いおそろいのエプロンをしているが、服装はポロシャツにチノパンなど自由。カジュアルなオフィス服、といった雰囲気だ。

 「子ども相手だからと、ピンクやキャラクターだらけにはしません。キャラクターに気を取られ、子どもは本質が見えなくなってしまうことがあります。茶々保育園グループのテーマカラーである茶色も落ち着いた色。その茶色のエプロンに合わせようとすると、スタッフの服装も自然とシンプルなものになります」

 男性の保育士も多く、この園では約1割が男性。公園は夜は人通りが減ることから安全面の考慮もあり、茶々保育園グループの中でも特に男性保育士は多いという。その男性保育士たちもIT企業などで働いていそうなキリッとしたタイプが多く、少し意外な印象を受ける。しかし、ゆったりと落ち着いた様子で子どもたちの話を聞き、テキパキと動く姿は、安心感そのもの。男女関係なく、意見を交換しながら子どもたちにどう関わるかを考えるプロの視線が見える。

絵の描かれたブロックを使いながら子どもたちの会話を広げていく男性保育士
絵の描かれたブロックを使いながら子どもたちの会話を広げていく男性保育士

 「確かに保育士の男性は、業界全体的に見るとまだまだ少ないのです。ただ、茶々保育園グループに応募してくる男性保育士は、子どもっぽくなりすぎない保育を求めてくる人が多いように思います。キャリアとしても、きちんと上に進んでいきたいという意識もありますし、職場としてもそれが可能な場所です」

 茶々保育園グループでは、保育士全員が名刺を持っている。一般の企業では当たり前の名刺も、園長など役職者を除いて保育士が普段持ち歩いていることはあまりないのが実情。しかし、きちんとプロとしての自覚と責任、そして自信を持たせるためにも、みんなが名刺を持っているのだ。

モンテッソーリをベースにしたオリジナルのおもちゃも多く取り入れ、子どもたちが各自で集中して作業を行えるような工夫が多くある
モンテッソーリをベースにしたオリジナルのおもちゃも多く取り入れ、子どもたちが各自で集中して作業を行えるような工夫が多くある