“オトナな保育園”は子どもが中心
茶々保育園グループは、「オトナな保育園」というコンセプトをもっている。少しでも人々に引っかかってほしいからこそ、あえて引っかかりのある言葉にしたそうだが、子どもたちが主役の保育園で“オトナ”とは、どういうことなのだろうか?
「これは、4年前に保育園の今後を考えた迫田健太郎理事長が、チーフブランディングオフィサーとして、おちまさとさんに入ってもらってコンセプトや保育のあり方を考えたときに決めたコンセプトです。保育園は子どもが育つ場所ですが、幼稚な場所である必要はないと思っています。大人も子どもも対等な関係を保ち、子どもも一人の人としてきちんと扱う、という意味を“オトナな保育園”という言葉で表しています。“子どもだからこういうことはできないんじゃないか”と決めつけたり、“◯◯しなさい”と上から指示をしたりはしません。子どもを保育の中心に置き、子どもからの気づきや動きを大事にしつつ、大人側は子どもが自分でできるための準備や手助けのあり方を考えるようにしています」
と、主任の最上秀樹先生。
例えば、みんなで座って話を聞こうというときに、なかなか座ってくれない子がいる。「座りなさい」と怒るのではなく、どうやったら子どもが座りたくなるように工夫するかを先生たちは考えるという。さらには、本当にみんなきちんとイスに座らなくてはいけないのか? 自由な場所でダメなのか? その子はなぜ座りたくないんだろう? そういった根本的な子どもの行動の理由から考え直し、先生同士でお互いにアイデアや工夫を提案し合い、保育をしている。
保育の様子をのぞくと、子ども3〜5人に1人くらいの割合で先生が近くにいて、それぞれままごと道具で遊んだり、絵を描いたり、お話作りをしていたりと、コーナーごとに整えられた保育室で思い思いのことを楽しんでいた。子どもたちが自分でその時々にやりたいものを選んで参加できるようにしており、そこに先生たちが見守るように近くに寄り添い、時々子どもに気づきを与えるように声をかける。叫ぶ声もなく、落ち着いて座って「これはどうなっているのかな?」と絵を描く対象を別の角度から眺めてみたり、「どうしてそうなってるんだろう?」とお話しの続きを引き出したりと、大人も一緒になって探求している。それが、この茶々保育園グループの保育のあり方を示しているようだった。