日々の家族との時間に幸せを実感

―― お手伝いさんがいて、家事を任せられるというのはうらやましい限りですね。ほかに、フィリピンでの子育て環境の特徴はありますか。

加藤 フィリピンって、子どもに対する「愛」の基盤がすごく強いんです。子どもに対する愛情や寛容さが社会全体に浸透しているという感じです。子どもが騒いでいても、「うるさい」と怒られることはまずないですし、親戚からもご近所からも、わが子がとても愛されているという実感があります。幼少期においては「勉強ができる」以上に「自分が愛されている」という感覚を持てるようにすることが大事だと思っているので、伸び伸び育てられるという点でフィリピンはいいと思っています。

 ただし、大人になるまでずっとフィリピンでいいかといわれると、そうでない局面もくるとは思っています。例えば僕は今フィリピンで自己実現できていますが、子どもたちもそうとは限らない。働く国を選べる力を身につけてもらいたいと考えています。

―― 家族と多くの時間を過ごせるようになって、心境に変化はありましたか?

加藤 やっぱり、幸せですね。以前の生活では家族と離れている時間が長く、上の子がいつ歩けるようになったかも、知りませんでした。今は幼稚園のイベントにも参加できるし、子どもをプールに連れて行ったり、夜、本を読んであげたりして一緒の時間を過ごしています。そういうちょっとしたことの積み重ねが、いいなあ、と思います。子どもも、僕に対してより心を開いてくれて、懐いてくれたり安心してくれたりするようになったと感じますね。

―― 今後についてはどのようにお考えですか。

加藤 仕事面では、今回レアジョブを創業から約10年で卒業したのと同じように、今後フィリピンで手がけるスタートアップを10年くらいで形にしたいと思います。その後はアメリカで働いてみたいですね。アメリカって「俺は世界一になれる」と思っている人たちが集まる国だから。そこで何かやってみたい、という気持ちがあります。

―― 次回は、子どもの英語教育についてお伺いします!

(構成/星野ハイジ 企画・写真(加藤さん)/日経DUAL 加藤京子)