“ワンオペ”はフィリピンでは聞かない

―― 今、ご家族はフィリピンにいらっしゃるんですね。

加藤 そうですね。フィリピン人の妻と、4歳と2歳の娘がマニラで暮らしています。以前は、フィリピンで過ごす時間と日本にいる時間が半分ずつくらいでしたが、会長退任後はフィリピンと日本は4対1くらいの割合で、家族と多くの時間を過ごせています。

―― 加藤さんの奥様もフィリピンで働いていらっしゃるんですよね。フィリピンでは共働き家庭が多いのでしょうか。

加藤 フィリピンの女性は結婚しても働くのが一般的で、僕の妻も教師の仕事を続けています。レアジョブのフィリピンオフィスでも、管理職の7割が女性です。

―― 共働きの子育て事情は、日本とフィリピンでは異なりますか?

加藤 フィリピンでは、日本のような“ワンオペ育児”はあまり聞きません。一定の所得以上の人はお手伝いさんを雇いますし、お手伝いさんがいなくても、もともと親類が集まって大人数で協力しながら暮らすことが多いんです。わが家には2人の住み込みのお手伝いさんがいます。費用は住み込み1人に対して、日本円にして月2、3万円程度。掃除や料理はもちろんのこと、妻と2人で外出するときにも、安心して子どもたちを任せられます。

 子どもたちの「世話」にあたる部分はお手伝いさんがしてくれるので、親としては中長期的な「教育」の観点から、「今はまだiPadを使っちゃダメだよね」などのルール作りの部分を担うように意識しています。一方、お手伝いさん抜きで家族だけで旅行に出かけると、子どもに対してカリカリしやすくなっている自分に気がつきます。お手伝いさんのおかげで余裕を持って子育てできているんだなと感謝しています。