全小中学校に占める不登校の子どもの割合が、平成27年度に過去最多となりました。小学校の低学年のうちは新入学や進級で新しい環境に慣れるまで、ぐずるようなこともありますが、もし、「学校に行きたくない」と言い出したら、子どもをひとりで留守番させるわけにもいかない共働きファミリーには大打撃。親はどう対処すべきか、ほとほと困ります。

わが子が不登校になったとき、親はどうすればいいのか、不登校新聞の編集長、心理カウンセラー、ひきこもりの子どもをもつ親を支援するNPO法人の専門家に取材し、特集として紹介します。第1回目の今回は、自らも中学2年生から不登校を経験した不登校新聞の編集長、石井志昂さんに話を聞きました。

【年齢別特集 小学校低学年のママ・パパ向け】
第1回 小学生の不登校は過去最多 低学年の子どもたちは ←今回はココ!
第2回 「明日は行く」は絶望の言葉 不登校児の本音は?
第3回 不登校児の「行きたくない」受け入れる自信はある?
第4回 ひきこもりが心配 不登校児の親ができる7つのこと
第5回 学校へ行きたくないあなたへ 味方はココにいます

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

不登校者数の割合は、小中学生をあわせて80人に1人

 文部科学省が発表している統計によると、平成27年度に病気や経済的理由以外で年間に30日以上欠席した不登校の子どもは国公私立全体で小学校が2万7583人、中学校が9万8408人で、いずれも平成25年度から3年連続で増加しています。

平成27年度 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査 2月確定値
平成27年度 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査 2月確定値

平成27年度 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査 2月確定値
平成27年度 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査 2月確定値

 具体的な不登校者数は小学校一年生から中学校三年生まで学年が上がるごとに右肩上がりに増え、小中学校をあわせると12万5991人。

 児童生徒数1000人あたりの不登校者数の割合は全体の1.26%で、80人に1人と過去最多を更新しており、小学生では0.42%で237人に1人、中学生では2.83%で35人に1人になっています

(注)調査対象:国公私立小・中学校(平成18年度から中学校には中等教育学校前期課程を含む)

平成27年度 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査 2月確定値
(注)調査対象:国公私立小・中学校(平成18年度から中学校には中等教育学校前期課程を含む) 平成27年度 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査 2月確定値

 小中学校の不登校児童と生徒の合計数は、平成19年度をピークに5年間連続して減少していましたが、増加傾向に転じている背景には何があるのでしょう。

 石井さんによると、不登校になったきっかけとして学校があげているのは、「不安など情緒的混乱」(小学生36.1%、中学生28.1%)、「無気力」(小学生23%、中学生23.7%)、「親子関係をめぐる問題」(小学生19.1%、中学生8.8%)、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」(小学生11.2%、中学生15.4%)などが多く、「いじめ」(小学生1.2%、中学生1.1%)や「教職員との関係をめぐる問題」(小学生3.3%、中学生1.6%)は少数でした。

 「不登校の小中学生になぜ学校に行きたくないのかを聞いても、うまく言葉で説明できるとは考えられませんが、文科省の説明によると、この調査に回答しているのは不登校の子ども本人ではなく、学校の先生やスクールカウンセラーです。ですので、不登校の理由については詳細な調査データはないという前提でお話ししていきたいと思います」。

 次のページからは低学年の不登校の様々なケースを石井さんにお話しいただきます。

<次ページからの内容>
・ 親が見た信じがたい光景
・ 学校がおかしいと気付く親が増えている
・ 子どもが不登校で傷ついていることを理解する親は少ない
・ 「学校がイヤだ」と言えてもその理由までは説明できない
・ 火の玉のようになって爆発したDくん