温度を調節するには、「炊飯器のフタ」がカギ?

 炊飯器を保温モードにしたら、お釜の上にぬれ布巾をかけます。フタを全部閉めると、温度が上がり過ぎて60℃を超えてしまうため、フタを半開きにするのですが、どうやって開き具合を調節するかというと……。フタの上にちょっとした重しを乗せるのです。今回はちょうど金属のボウルが重さ的にちょうど良いため、ボウルを乗せて対応しました(鍋のフタなどでもOK)。子どもたちも、「え? これを使うの?」と大笑いです。

 フタを調節したら、仕込みはほぼ完了! あとは約8時間保温状態にし、55~60℃を保つために温度管理するだけです。

 「酵素がしっかり働いて、麹の糖化が最も進む温度が55~60℃くらいなんです。保温時に70℃以上になってしまったり、逆に50℃以下になってしまったりすると酵素がうまく働かなくなっておいしい甘酒ができなくなってしまうので、温度管理が大事になるんですね。基本的に保温モードにしていれば、さほど温度の上下はないのですが、時々数時間ごとに温度計でチェックするといいでしょう」(濱島さん)

金属のボウルを重石にして、炊飯器のフタを半開きに。時々温度計でチェックする役目は、子どもたちにお任せ!
金属のボウルを重石にして、炊飯器のフタを半開きに。時々温度計でチェックする役目は、子どもたちにお任せ!

 ただ、8時間ずっと張り付いていなくてもいいので、そこは安心。時々、温度計で中身の温度を確認しますが、ここは子どもたちの出番です。温度が55℃を下回っていれば、フタを少し閉めて(重しを重くして)温度を上げ、逆に60℃を超えていたら、フタを少し開けて(重しを軽くして)温度を下げます。この微調整こそ、おいしい甘酒を作るコツになります

 途中1、2回全体をかき混ぜることも忘れずに。全体をなじませ、麹の発酵を促進させます。約8時間経ったら、中身を確認して、おかゆのようなペースト状になっていたら、甘酒の出来上がりです!

 「最後に一手間を加えて『火入れ』をすると、より甘みと香りが増して日持ちが良くなります。甘酒を鍋に移して、全体を混ぜながら中火で70℃まで加熱すると、麹が最後に力を振り絞って甘みを出してくれるんです」(濱島さん)

 これも“生きた”麹のなせるワザ。大切にいただこうという気持ちになります。