「バザー係だけは引かないでね。無理だからね、絶対」

 なんだろう、この達成感。

 特番の司会を無事に終えてスタッフ一同乾杯した瞬間のような、中学の文化祭を終えてプロデュース的なことをした女子同士で喜び合ったときのような。そんな、大変だったけど苦難を乗り越え一つのことを成し遂げたという感慨を、まさか息子の幼稚園のバザー係で味わえることになるとは思わなかった。

 「悲報。バザー係」

 そんな一報が夫からもたらされたのは、遡ること2カ月前。幼稚園の係を決める保護者会に行ってもらったときのこと。「とにかく、バザー係だけは引かないでね。無理だからね、絶対」とあれほど言っておいたのに、見事に“ご当選”のくじを引いた夫。聞くところによると、半数近くがバザー係だったというので、それも仕方のないことかもしれない。

 バザーといえば在園児だけでなく、卒園児やそのご家族、地元の方々も来場する幼稚園にとっては一大イベント。未来の園児たちも園の様子を見に来る「オープンキャンパス」的要素もある。保護者、特にママたちを中心に、バザーで販売するグッズを手作りしたり、子どもたち向けのゲームや食べ物の準備をしたりと、かなりの労力が必要とされる。

 細かい手作業が多いし、時間が取られて、「特に働く母にはつらいよ」とウワサに聞いていた。気力的にも体力的にもお若いママたちに劣る四十路ママとしては、ここは避けておくほうが無難。係の活動への参加度が低くて他の方にご迷惑をかけるのも嫌だし、と思っていたのだが。

 しかし、一方で、何となく当たるような予感があったというか、実はこういうこと嫌いじゃないのよね私というか、そんな揺れ動くおばさん心があったのであった。

 晴れて(?)当選してしまったからには、やるしかない。