子育てに大変さ以上の喜び「息子はエネルギー源」
11歳のとき、父・坂本九さんを飛行機事故で亡くし、「悲しみ」という感情のスイッチをオフにしてきた大島さん。歌と関わりながら、自分がやりたいことは何か探していました。36歳のとき、出産をきっかけに道が開かれていきました。産後すぐに、親子コンサートを主催。音楽の力を感じて、ギタリスト・笹子重治さんにサポートをお願いしたり、被災地に飛んでいったりと精力的に活動しています。
妊娠・出産は、自分の体が自分でなくなる違和感がありました。他人に支配されている感覚は初めて。自分のペースで生きてきたので、息子のペースに支配されるのに戸惑いました。産後、基本は自分で世話をしてきたそうです。「身内のサポートはありましたが、一緒に住んでいるわけではなく、夫も仕事で忙しかった。息子と2人の時間が、圧倒的に多かったです」
子育てには違和感や大変さ以上の喜び、愛情がありました。「今も、やりたいことが自分のペースではできない。トイレに行っていても、食事中でも、用事があれば呼ばれます。でも、息子には、そんなものをひっくり返すほどの存在感があります。日々、悔やみ、イラっとして、でもこの上なくエネルギー源でもあるという感じを味わってきました」
入園・入学のポイントで緊張感。日々、葛藤の育児
成長につれてその都度、保育園に入れるか、幼稚園に入れるかなど選択肢があり、決断しなければなりません。息子の環境が変わるたび、緊張感があります。
「入園や入学のポイントで、ゴールデンウィークに私が体調を崩すんです。新しい環境になって、気づかないうちに責任感や緊張感があるのでしょうか。息子は疲れているけど健やかに過ごしてくれてありがたいです。4月は仕事を入れるとつらいのですが、仕事がないと元気が出ない。誰かの前で歌うと元気になるんです」
幼稚園の「ママ友」は、今となっては財産だそうです。「新しいコミュニティーで、最初はどうしていいかわからなかった。でも、この年齢になって、友達ができると思わなかった。音楽で出会いがあるのもいいけれど、息子を通した日常の生活で接する人たちとの時間が糧になると感じます」
今年、小学校は3年目になりました。クラス替えや先生との関係に心を砕き、忘れ物がないかなど、「手は出さないけれど、目はかけないといけない時期」です。「距離感をどうやって、見守って導いていくか。育児というのは、本当に自分を育てていると思います。親でも夫でもない息子に力をもらって、学ばせてもらっているのは自分なんだな。そう分かるけれど、なんて大変なんだとも思っている。こういう日々の葛藤に意味があるのでしょうか。まだまだ、さなかにある感じがします」
次ページから読める内容
- 「じいじに会いたい」息子の言葉に「言ってもいい」
- グリーフサポートの団体と出会う
- 悲しみに区切りはない、それでいい
- ヨイトマケ、母として解釈「幸せに見守っているはず」
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