服に貼るタイプ、アロマスプレータイプは効果なし!?

 ところでよく見かける服に貼るタイプの虫よけや、体に優しいとうたわれるアロマスプレーはどうなのだろうか。

 「率直に言って、服に貼るタイプの虫よけは期待できません。なぜかというと、蚊やダニなどの虫は、二酸化炭素をかぎつけて人間に近寄るんですね。その二酸化炭素をかぎつけるセンサーをブロックするのが、ディートやイカリジンの成分なんです。揮発した虫よけが皮膚上を漂っていると、蚊が二酸化炭素が出ているかどうか分からなくなって、近寄らなくなるわけです。ところが服に貼るタイプの場合、貼った箇所に成分があるだけなので、皮膚から二酸化炭素が放出されているのが分かってしまいます。貼るタイプの虫よけを全身くまなく貼るのであれば、効果が期待できますが、それは現実的ではないですよね」と久住先生。同様にアロマスプレータイプも期待できないという。

 「アロマスプレータイプは成分にもよりますが、効果が示されたという報告があるのはユーカリ油(有効成分:p-menthane 3,8-diol[PMD])くらいのもの。蚊に対して“低濃度のディート”と同様の効果を示したという報告もあります。実際、ユーカリを主成分とした虫よけも海外では販売されていますが、CDCでは米国製品の説明書に従いユーカリ油を3歳以下の子どもには使用しないよう発表しています」。ユーカリの香りは子どもの好みも分かれるところなので、あえて使う理由はないだろう。

日焼け止め&虫よけは併用! どちらを先に塗る?

 虫よけを使用するときに、日焼け止めを使ってもいいのかも気になるところ。効果が薄れてしまうのではないかと思ってしまうが、アウトドアなどで強い日差しを浴びるときには日焼け止めも使ったほうがいいという。

 「日焼け止めを先に、虫よけを後に塗りましょう。日焼け止めはSPF50、PA++++程度の濃度の高いタイプを使うといいですね。ただ海外などではディートを含む日焼け止め製品が販売されていることもありますが、CDCはこうした製品の使用を推奨していません。日焼け止めと虫よけの使用法は異なります。日焼け止めは2時間おきなど頻繁に塗り直す必要があるのですが、虫よけは日焼け止めほど頻繁に使用する必要がありませんので」

 日差しと蚊から身を守るためには、長袖、長ズボンも有効だ。

 「アウトドアに出かけるときは物理的に遮蔽するのが一番なので、長袖、長ズボンがいい。とはいえ暑いのでお子さんは嫌がりますし、具合が悪くなってもよくありません。虫よけをしっかり使用していれば、半袖、半ズボンでも構わないと思います」

山など野外活動ではダニ対策も重要!

 ただし、山でハイキングするときなど、草木の多いエリアではダニに対するケアが必要になるという。

 「山などでの野外活動の際、EPAなどは長ズボンは当然着用のうえで、ズボンの裾はソックスの中に入れ、その上から虫よけをする、また肌が露出する部分にはしっかり虫よけをするようにと注意喚起しています。
 実際に野外から帰ったら、体中くまなくチェックしましょう。虫やほくろみたいなものなどがダニだったりするんですよ。ダニが付いている場合はすぐに皮膚科に行くようにしてください。ダニに刺された場合、ただ払うだけだと、皮膚の内側に刺さったダニの口が残った状態になってしまいます。皮膚科で取り除いてもらってください。
 ただ、ダニそのものが危険なわけではなく、ダニが病原体を持っているから危険なのですが、実際にはどのダニが病原体を持っているかは分かりません。
 基準になるとしたら、動物から吸血したダニが病原体を持つようになるということ。ですから都心の公園のダニが必ずしも危険な病原体を持っているとは言えないですね」。

公園には蚊だけでなくダニもいるので要注意
公園には蚊だけでなくダニもいるので要注意