子育て世代に起こりやすいトラブルの実例とその対処法を、弁護士法人・響の徳原聖雨弁護士に伺う連載です。今回フォーカスしたのはご近所トラブル。マンション隣人の迷惑行為、共用部の使い方マナーなど、よくある問題に注目してみました。

 CASE1 お隣の植物がうちのベランダに伸びてきて困った
 

Q. マンションのお隣さんがベランダでガーデニングをしていますが、植物が自分のベランダにも伸びてきたり、虫が増えたりして困っています。なんとかできないのでしょうか。うちのスペースに侵入した部分だけ切ってもいいですか?

A. 虫が増えたりすると窓も開けにくくなり、大変ですよね。こうやって迷惑を受けているんだから、お隣さんの植物を無断で切ってもいいのか。答えはノーです。自分のベランダに侵入した部分だけだとしてもダメです。なぜなら、お隣さんの植物はお隣さんの所有物であり、無断で切ってしまうことは器物損壊罪という罪に当たる可能性があります。また、無断で切ったことでその植物が枯れてしまうことがあれば、その損害を請求されるかもしれません。

 ただ、植物の育ち過ぎについては、マンションの管理規約に明記されている場合があります。“専有部分からはみだして他の居住者に迷惑をかけている部分は、勝手に伐採してもよい”との一文が入っていることがあります。ご自身のマンションの管理規約を確認してみて、そのような文言があれば自ら伐採することも可能です。

 そのような規約がない場合、管理組合に働きかけて、ベランダでのガーデニングについてのルールを明確にしてもらう、といったことも考えられます。植物の育ちすぎによるベランダへの侵入や虫の増加により窓を開けることができなくなった、洗濯物を干すことができなくなった、などの事情があれば、不法行為に基づく損害賠償請求や、調停を起こしてガーデニングをやめるように求める、という方法になるでしょう。