ファイナンシャルプランナーの中嶋よしふみさんが、住宅購入に関するDUAL読者の疑問やお悩みに答える本連載。今回のテーマは、固定金利で住宅ローンを借りられる仕組みの「フラット35」。家を買う人はぜひチェックしておきたい10月からの変更点について、詳しく教えてもらいました。

 住宅購入を検討している人ならば、金融機関やCMなどで「フラット35」という名称を聞いたことはあると思います。

 一言で説明すると「固定金利で住宅ローンを借りられる仕組み」です。これが今年の秋、10月1日からこれまでにないほど大きく変化します。

 フラット35って銀行の一種でしょ?と問われるなら、部分的に正解かな……?ということになります。フラット35は住宅金融支援機構という独立行政法人が提供している住宅ローンの一つです。少し上の世代の方であれば、昔の「住宅金融公庫」と言えば通じるかと思います。恐らく読者の世代の方であれば親が買った家のローンは公庫のローンだったという人は多数いるはずです。

 特徴はすでに書いた通り固定金利で、長期間にわたってお金を借りられることです。住宅ローンは銀行をはじめほとんどの金融機関で提供していますが、信用金庫などは35年などの長期ローンは自社では提供せずフラット35を仲介するだけ、というケースもあります。

 それだけ長期間にわたって固定金利でお金を貸すことは難しいから、というのがその理由になります。

 借りる側から見ると長期固定でローンを組める部分だけを見れば同じですが、フラット35と金融機関の住宅ローンでは微妙に仕組みが異なります。

フラット35の団信が変わる!

 従来は「団体信用生命保険」、略して団信(だんしん)の扱いがフラット35と一般の金融機関で大きく違いました。

 団信は住宅ローンを組んだ人が、死亡するか高度障害となった場合に返済が免除される仕組みです。名前の通り、生命保険の一種です。

 金融機関でローンを組む場合、団信は強制加入です。生命保険は健康状態が一定の水準を満たさないと加入できませんが、団信も同様です。団信に加入できない場合はそもそもローンが組めません。保険なので保険料は必要ですが、金利に含まれているので表面的には無料で加入しているように見えます。

 一方、フラット35では団信は任意です。加入しなくてもローンを組むことは可能です。加えて、団信に加入する場合は別途、保険料が必要です。つまり金利に含まれていないわけです。ここが金融機関とは異なります。

 団信無しでローンを組む人は少数派ですから、金融機関とフラット35のどちらが有利なローンかは、金利だけでは比較できずちょっと面倒な状況でした。これが今年の10月からはフラット35も団信の保険料を金利に含む形へと変わります

 ただし、「保証料」というものが銀行の場合はかかりますが、フラット35はかかりません。いずれにせよ金利だけでは比較できないのですが、次ページのような形になると考えてください。