現在

◆フラット35は……返済額+団信保険料

◆銀行は……返済額+保証料

10月以降

◆フラット35は……返済額

◆銀行は……返済額+保証料

※ローンを組む際には別途融資手数料や火災保険料など、いわゆる諸費用と呼ばれるものが必要です。両者に共通する諸費用は省いて比較しています。諸費用は金融機関によって異なります。フラット35も仲介する金融機関によって諸費用は異なります。
※保証料は金利上乗せで支払いが可能な金融機関もあります。

 従来のフラット35は団信の保険料を金利に含んでいないため、金利だけで比較すると銀行より低いケースがほとんどでした。

 今後は上記の通り、フラット35も金利に団信保険料を含みます。一方で銀行では保証料が金利と別枠で発生します。したがって金利だけで比較すると銀行のほうが高い状況になるかもしれません。

団信の金利上乗せはどれくらい?

 フラット35の団信による金利上乗せ分は0.28%程度を予定しているようです。これが実質的に保険料となります。以下、フラット35が公表しているシミュレーションです。条件は3000万円のローンを35年、1.12%で組んだ場合です。

(出典:住宅金融支援機構、※部分は「ローンの総支払額、団信特約料の総支払額、総支払額合計」)
(出典:住宅金融支援機構、※部分は「ローンの総支払額、団信特約料の総支払額、総支払額合計」)

 上記の通り、支払総額では従来よりも約35万円安くなる、と説明されています。

※従来は死亡と「高度障害」となっていた保障範囲が、死亡と「身体障害保障」に変わっています。これによって保障の範囲に含まれるもの、外れるものが変わります。身体障害保障の適用条件として、障がい者等級の1級・2級で障がい者手帳が交付されることとなっています。

 結局どっちがお得なの?という点が一番気になると思いますが、全期間固定でローンを組む場合、フラット35と銀行の全期間固定ローンを比較すると、どちらもいい勝負でその時々で異なる状況でした。これは今後も変わらないと思われます(当然、ローンを組めるかどうかは審査次第です)。

 なお、フラット35の団信が任意という点は変わりません。団信が不要な場合は0.2%の金利引き下げとなります。

3大疾病保障には介護保障も加わった

 現在、住宅ローンを組むと、団信に3大疾病や7大疾病、8大疾病などの保障が付けられる金融機関が増えています。

 通常、団信は死亡時か高度障害を負った場合にローンの返済が免責される仕組みです。そこにその他の条件も上乗せするのが7大疾病や8大疾病です。具体的にはガン、心筋梗塞、脳卒中の3大疾病に加えて、金融機関ごとにどの病気が対象になるかが決められています。

 どのようなケースで返済が免除されるかも病気により異なります。所定のガンにかかった場合、心筋梗塞や脳卒中ならば病気になって60日経っても仕事や日常生活に支障がある場合、といった具合です。

 免除のされ方も、条件を満たせばすぐに全額免除の場合もあれば、1年間は毎月の返済額が免除、1年以上病気が続いて働けない状況ならばその時点でローンが全額免除、といった具合に、金融機関によっては同じ病気でもどのように免除されるか条件が異なります。病気になれば即全額免除というケースは一部に限られますので、注意が必要です。

 ではフラット35はどうなっているかというと、従来からあった3大疾病保障は残ります。正式には「新3大疾病付機構団信」という名称です。3大疾病保障の保険料はローン金利に0.24%上乗せとなります。

 保障内容は通常の団信と同じく高度障害保障が身体障害保障になり、がん・急性心筋梗塞・脳卒中に加えて、新しく「介護保障」も加わります。公的介護保険制度で要介護2以上が対象となります。

 介護のランクは「要支援1・2」と「要介護1~5」で7段階に分けられます。要介護2は下から4番目で以下のような状況を指します。

軽度の介護を必要とする状態

 食事や排泄に何らかの介助を必要とすることがある。立ち上がりや片足での立位保持、歩行などに何らかの支えが必要。衣服の着脱はなんとかできる。物忘れや直前の行動の理解の一部に低下がみられることがある。

(生命保険文化センター「公的介護保険で受けられるサービスの内容は?」より)

 実際に介護が増え始めるのは70代後半ですから、その時点でローンが大量に残っている人はほとんどいないと思われます。したがって老後の保障になるような内容ではないと思いますが、病気やケガなどで若くして介護が必要になった場合には役に立つかもしれません。