自分で積み立てて60歳になったら受け取る

「一言で言うと、イデコは自分のお金を専用口座で毎月積み立てて資産運用を行い、60歳になったら受け取るという制度です。銀行の預金口座や証券口座とは別に、独立した口座が用意されます。極端な話ですが、万一自己破産をしたとしても、預金や証券口座は裁判所に差し押さえられる可能性がありますが、イデコは差し押さえられることのない年金資産です」(亀石さん)

 ただし、いくらでも積立られるわけではなく、積立金額には上限があるそうです。「毎月積み立てる(拠出する)お金の上限は、自営業の方なら6万8000円です。会社員の方は、勤務先に企業年金の制度があるかどうかなどにより1万2000円~2万3000円と幅があります」

毎月の積立限度額
毎月の積立限度額

課税所得が大きくなればなるほど、節税のメリット大

 イデコの最も大きなメリットは、所得控除で確実にお金が戻ってくることだそうです!

「拠出した金額は全額が控除対象になります。例えば自営業の方が月額6万8000円を拠出し、税率(所得税と住民税)が3割とすると24万4800円が戻ってきます。会社員の方が2万3000円拠出するケースでは、税率3割として年間で8万2800円が戻ってきます。課税所得が多くなればなるほど税率も上がっていきますので、税金が戻ってくる節税メリットは大きくなります」(亀石さん)

 税率3割なら、拠出した金額の3割は“確実に増える”ということです。今は超低金利時代。2割、3割と上乗せされる金融商品は、なかなかありません……。かなりお得な制度なのではと、ますます前のめりに。

運用で得た利益も非課税

「さらにお得な話があります。60歳までイデコ資産を運用している間、運用で得た利益に課税されません。通常は運用益に20%課税されますが、イデコにはそれがありません。仮に30年間、運用利回り3%で毎月2万円積み立てたとすると、課税される場合と比べて122万円もお得になります」。

 60歳になったときにイデコの年金資産を受け取る際も税控除のメリットがあるそうです。一方で、イデコにはいくつか注意点もあります。「まず同時に2つ以上の金融機関では加入できません。一人一口座です。ただし金融機関を途中で変更することはできます。また、原則的に60歳になるまでお金を引き出すことはできません。さらに資産運用は加入者自身が行い、受け取る額は運用成績により変動します」

 最後の運用成績については、元本を保証する運用商品(定期預金や保険)もあるそうです。結構お得なイデコ。60歳まで引き出せないということは、自分の身の丈にあった金額で、少しずつ始めるのがよさそうです。