家事代行サービスの月額平均予算は2万2573円
林田 アウトソーシングの費用についてですが、これは妻側からよく聞かれるのですが、収入の何パーセントくらいまでなら外注してよいものでしょうか?
氏家 なかなか難しい質問ですね。そもそも現状、実際にアウトソーシングを利用している人はまだまだ少数派です。
少し前のデータですが、経済産業省による2011年の調査では、家事支援サービスの利用率は2%程度でした(経済産業省「家事支援サービスについて」)
実際に利用している人を見ても、世帯年収が1000万円を越えたあたりから急激に利用金額が上昇しています(図参照)。
「我が国の家事外部化の動向を探る ――家計調査結果から見た『家事に関する支出』」
林田 子育て世帯の平均年収は700万円弱といわれているので、そう考えるとハードルが高いですね。
氏家 そうですね。一方で、実際に利用した人の満足度は非常に高いんです。家事代行マッチングプラットフォームの「タスカジ」調べだと、家事代行に使っても良いと思える月額平均予算は 2万2573 円。週1回の定期利用に値ごろ感を持っている人が多いようです。
このようなサービスは比較的安価ですし、月2回同じ人に頼むと割引があったりもするので、利用を始めるに当たっては使いやすいサービスだと思います。
林田 金額的にも、ちょっとサポートが必要な人が利用しているイメージですよね。お試し的に使ってみるといいですね。
氏家 まずは数千円からお試しで始めて、困ったときに利用するという程度でいいと思います。何度か利用して、気に入ったらさらに利用していけばいい。いざとなれば人に委ねられるという選択肢があるかないかだけでも、心持ちは随分違うはずです。
夫婦共働きが当たり前のシンガポールでは、一定以上の収入がある家庭では家政婦を住み込みで雇うことが一般的です。日本より安いとはいえ、日本円にして月5万~8万円程度を必要経費として家庭から支払っているのです。日本でも月に数万円をアウトソーシングのコストとして家計に組み込むと、時間的にも精神的にも余裕が生まれるのではないでしょうか。
林田 その通りですね。マルオペ育児も「連携体制を構築しなければならない」ではなく、「夫婦以外の人やサービスと連携してやってもいいのでは」という提案なんです。他に頼れるという選択肢があるだけで、夫婦間のギスギスもずいぶん緩和できると思います。
氏家 そのためにも、妻の収入からだけ支出するのではなく、夫婦の収入、つまり家計からアウトソーシング代を捻出することが大切です。それでもし夫が「払わない」というなら、「では、そのぶんあなたも家事・育児をお願いね」となるわけです。どうしても、家事・育児は夫婦のどちらか、あるいは両方が担うものという思考に陥りがちですが、アウトソーシングを取り入れることによって、いつも家事・育児を担っている人の負担が金額で“見える化”されることにもなるわけです。
まず「ふたりで働くのが当たり前」という前提に立って、家事と家計のバランスを考えてほしい。何度も言うようですが、家事・育児のアウトソーシングは、共働きを続けるために必要なコストなんです。