株式投資で100万円が4000万円になったのは、古き良き時代の話ではない。株価は、短期的な変動を繰り返しながら上がっていくもの

中桐 産業の成長と共に個人の資産も増やしていくという観点に立てば長期投資が合理的なのですが、日本では短期の結果で一喜一憂して投資をやめてしまう人が多いのも残念です。投資を始めて2年以内でやめる人が半数以上という調査もあります。

石毛 自分の資産をいかに守り、増やし、そしてどう使っていくのか。お金のプランニングは人生設計そのものだと思います。だからこそ、短期の上げ下げにとらわれず、自分のライフプランに合わせて10年、20年という単位で考えるのが基本だと思います。若い世代ならなおさらですね。また、長期になるほど、いろいろな選択肢を組み合わせることでリスクは分散され、変動に耐えられる資産運用が可能になります。

中桐 例えば、アメリカのキャピタルグループのニューパースペクティブという投資信託運用の実績では、1973年に投資した100万円が2016年には4000万円超になっています。こういった例をセミナーなどでお見せすると驚かれるのですが、長期運用で資産を増やすというのはこういうことです。ですが、「たまたまこの時代はそうだったかもしれないが、これから先も株価は上がり続けるのか?」という疑問の声もあがります。いかがでしょうか?

石毛 市場で取引される金融商品には価格変動がつきものです。暴落もあれば乱高下もあります。一方で、暴騰も持続的上昇もあります。それでは、上げ下げの確率は五分五分かといえば、短期的にはそう見えるかもしれませんが、中長期ではそうではないのが株式投資の魅力です。企業に投資することは、ギャンブルのように集めた掛け金を勝ち負けによって分配するゲームではなく、掛け金を使ってビジネスに役立て大きく増やそうとする営みだからです。

 株価は需給で決まる(人気のある銘柄は価格が上がり、人気がなければ下落する)といっても、その需給の背景となるのは掛け金を増やす原資となる企業収益です。その収益を生み出す力を企業価値とよぶと、企業価値は企業の成長と共に上がります。したがって、長い目で見れば株価も企業の成長と共に上がっていくわけです

 そして、ここが重要なポイントですが、企業の成長余地は無限だということです。成長を促す財やサービスへのニーズは人の欲望から生まれます。そして、人間の欲望は無限だからです

 昔は余暇といわれても「盆踊りに出かけたり」「庭でお月見でもしたり」でしたが、今は映画を見たりディズニーランドに行ったりしてお金を使いますからレジャーが産業になり、多くの企業が成長しました。同じように、もっといい服が着たい、おいしいものが食べたくなる、といった素朴な欲求も企業の成長の源になります。特に、モノの消費では、人口や置き場所などによって消費量にも制約がありますが、サービスの消費には物理的な限界がありませんから時間とお金さえあればいくらでも消費できます。そのサービス消費でアップルのiPhoneやフェイスブックのSNSのような、新たな欲望を掘り起こすイノベーションが次々に起こっています。流通サービス分野の産業が社会の大半を占める21世紀の経済には、まだまだ成長の伸びしろがあります。

中桐 世界的な人口増加もグローバルな経済成長の起因になりますよね。

石毛 おっしゃるとおりです。胃袋が増えれば消費も増え、欲しいものも多様化しますから。人口増加は需要の量的拡大だけでなく新たなニーズも生み出します。

中桐 新興国では中流階級が増えて消費が拡大し、先進国では新たな欲望を開拓するイノベーションが生まれる。この両方の効果で、経済成長は続いていくということですね。

石毛 その通りです。「地球の限界」という危惧がありますが、その限界を克服しようとする欲求も新たなビジネスニーズになります。技術革新のスピードも加速しています。両者が相まってイノベーションを促し、結果として経済成長につながるわけです。ただし健全な欲望を押さえつけるような的外れの規制や過度な清貧思想には注意が必要です。また、豊かさの根本は社会が平和であることですから戦争ももちろん豊かさを阻害します。

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