4人の子育てをした内藤さん流、息長く両立をするコツ

―― 内藤さんは読者の先輩世代です。第1回の締めくくりとして、100年ライフを乗り切るための読者へのアドバイスをお願いします。

内藤 夫婦共働きで4人の子どもを育てました。子どもたちは全員、独立しています。私はFPとして独立してからは自営業ですが、子どもを持っても働き続けるのが当然だと思ってきました。夫も子どもたちも最初から、そういうものだと受け入れていたようです。夫は会社員で長時間労働、家事はやりたくてもできない状態でした。

―― DUALでも「ワンオペ育児」が話題になります。

内藤 「仕事は当たり前、やれる範囲で家事はやりまっせ」という姿勢ですから、必要に応じて家事サービスは利用しました。懐具合と相談して換気扇の掃除などピンポイントな部分だけを1~2カ月に一度頼んでいました。保育園はマストで、夫婦とも早く出勤するときはベビーシッターサービスを利用したり。あとは近所のネットワークですね。「ちょっとお願い。保護しておいて」みたいな(笑)。

 土日は夫の会社は休みなので、「休日の食事作りは自分の仕事」だと思ってくれていたところがありました。マネーのセミナーの仕事は休日に入ることが多いので、私にとって週末は「夫に子どもを任せて、お迎えを気にしないで仕事ができる日」でした。これは個人差があると思いますが、子どもの運動会より仕事を優先したこともあります。でも「お母さんが運動会にいなくて寂しかった」みたいなことは言われたことがないんです。土日、私がいないことは当たり前だったので。

―― 「そういうものだ」としてしまうのは、大きいですね。

内藤 意識的に、「私がやるべきことを、みんなにやってもらってごめんなさい」ではなく「家の中のことは本来、みんながすべきことだよね」という態度を一貫してきました。ある程度の年齢になったら、子どもたちには「お掃除したらお小遣いプラス」とか、あの手この手で戦力にしていきました。

 母親役割が必要なことはもちろんですが、そうやって家事を割り振れば、本質的な母親役割の部分に集中できますよね。大学生の子どものためにわざわざ食事を作って「私がいないとこの家庭はうまくいかないの」といった、役割依存に陥ると辛いじゃないですか。子どもの性別問わず家事の戦力にしておけば、家事スキルという点で生涯のプラスにつながります。人生100年を考えても、家事はできるようにしておくことが大切ですから。

――内藤さんご自身は、将来何歳くらいまで元気で働きたいと思いますか?

内藤 一生働きたいですね。私は昨年還暦を迎えたのですが、もう教育費はかかりませんし、あとは夫婦2人のことだけでいい。自分の経験を生かし、そんなにお金にならなくても働き続けたいですね。

(取材・文/阿部祐子)