従業員がいなければ「給与等の支払の状況」は空欄で

 「給与等の支払の状況」は、従業員などを雇っていて給料の支払いがある場合に書く欄です。1人で起業する場合は、ここは空白でかまいません。

「関与税理士」も空欄のままでOK

 起業して、いきなり顧問税理士を雇う方は少ないでしょうから、ここは空白のままでかまいません。本業に力を注ぐことは必須ですが、お金のことに詳しくなる意味を込めて、開業1~3年は自分で確定申告をすると、いい勉強になりますよ。

 なお、各地の税務署で記帳の説明会等が無料で開催されています。上手に活用しましょう。

 開業届を書くときは、身が引き締まる思いだと思いますが、このように「開業届」そのものはとても簡単に出すことができます。ただし、難しいのは「開業」することではなく「事業を継続すること」です。

 内閣男女共同参画局が調べた「『女性の活躍による経済社会の活性化』に関するデータ分析報告書」によると、個人事業主の廃業率は女性の場合で22.4%、男性で19.1%。せっかく開業しても、約5人に1人の割合で廃業していることから、継続することの難しさが読み取れます。
(出典:http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/kihon/kihon_eikyou/jyosei_datarep.html

 このように、起業は会社員とのダブルワークでもできるものの、「会社を辞めて自分の事業1本で生きていきたい」と思ったときの家族の不安は、「収入の不安」と「もしものときの保障」にあるようです。

 事例や収入については、日経DUAL6月号の「ダイバーシティ時代の幸せ夫婦☆キャリア計画」にもありますので、次回はFPとしての観点から、「もしものときの保障が会社員と個人事業主では何が異なるのか」について、お伝えします。

(監修/備順子税理士 写真/吉澤咲子)