長期的に考えれば共働きのほうがずっと「お得」

林田 「夫婦で理解する」ことの必要性は何ですか?

氏家 妻のほうが時短勤務等で減少した収入の中からアウトソーシング代を捻出し、貯金も取り崩していると、「収入が減るうえ貯金まで減るんだったら、家事も育児も私がやってしまおう」となりがちだからです。「共働きはわが家にとって必要なことである。その中で時間的にも経済的にも精神的にも辛いのがこの2、3年。だけど、この時期を越えてしまえば私たち夫婦はどんどんハッピーになる。場合によっては貯金を取り崩してもいいので、この3年をなんとか笑顔で乗り切ろう」ということを夫婦共通の理解とするのが大事です。

 でも、その前につらくて仕事を辞めてしまうと、夫の収入しか入ってこないうえ、3歳からは高い幼稚園代がかかってくる。そこが、共働きと片働きが家計的に逆転するポイントなんです。

林田 妻が仕事を辞めると、両立のつらさからは解放されるけれど、結果的に家計が非常に苦しくなってしまうということですね。今、公立の幼稚園は全国的に減少していて、私立は入園料、保育料などが非常に高い。逆に保育園は保育料が安くなるタイミングでもあり、3歳以降は共働きのメリットが出てくる時期なんですね。

氏家 そうなんです。だから、多少アウトソーシングに貯金を使ってでも、夫婦で働き続けることを選択したほうがいい。この時期に家計や貯金のことを考えすぎて、仕事に家事に子育てに家計管理にと頑張り過ぎてしまうと、ポキッと気持ちが折れてしまいます。

 だから「3歳までは貯金できなくてOK」と覚えておいてください。そして、働き続けている自分にもっと優しくなってほしい。この時期を何とか乗り越えて、お子さんが3歳以降になると、家計も育児もぐっと負担が軽くなりますから。

林田 多少アウトソーシングにお金がかかっても、共働きを続けていけるので、結果的に「お得」ということですね。

氏家 その通りです。だから、やはりそのことを夫婦で共通の理解とすることが大事ですね。

林田 次回は、具体的な家計とアウトソーシングのバランス、貯金のためどき、肝心の教育費などについてお聞きします!

(撮影/谷本結利)

氏家祥美

ハートマネー代表。家計研究家。第2子出産後、2005年にFP会社の立ち上げに参画。2010年にFP事務所ハートマネーを設立。お金・仕事・時間のバランスのとれた幸福度の高い家計を追及する。『いちばんよくわかる!結婚一年生のお金』(学研パブリッシング)、『35歳からの女性に贈るこれからのお金のお作法』(秀和システム)など、著書多数。 趣味は旅と世界の料理。