『さしすせその女たち』 今回の主な登場人物
サンクルーリは、デジタルマーケティング会社だ。IT、インターネット広告、ソーシャルメディア・マーケティングをはじめとしたマーケティングを国内外に広く提供している。創業10年目の新しい会社で、社員数300人、上場して2年目に入る。
多香実は、知人の紹介でサンクルーリ創業時に既卒入社した。それまで別のIT企業に勤めていたが、あまりの残業の多さに身体を壊し退職した。
サンクルーリは新しい会社ということもあって、制度も充実している。子どもたちを妊娠し、出産したときも、産休・育休と、問題なく取ることができた。
子どもを2人望んでいた多香実は、杏莉を産んだ翌年に颯太を出産した。計画的に年子にしたのは、ぶつ切りで休業するよりも一気に休んだほうが、その後の仕事がやりやすいだろうと考えたからだった。
産休と育休でほとんど2年間休業したので、休んでいる間は、あせりと申し訳なさで仕事のことが気になって仕方がなかったが、時世に合った社風のおかげで、肩身の狭い思いはしないで済んだ。会社が寛容に対応してくれたことで、それまで以上にがんばって会社に貢献したいと、多香実は心から思っている。
多香実が担当しているのは、WEBサイト向けの広告の企画・提案・制作だ。多香実は、ソーシャルマーケティング部、クライアントオペレーション室の室長として部下6人、パートやアルバイト社員を入れて12人のチームを抱えている。平均年齢35歳という若い会社なので、39歳の多香実は上のほうだ。
やりがいは日々感じている。いずれは、ソーシャルマーケティング部の部長になれたらと、ひそかに思っている。今のところ、同い年の男性同僚が有望株だが、自分にも見込みはあると感じている。
産休・育休で休みをもらい、現在も子育て真っ最中である自分が昇進できれば、多くの女性社員たちに希望が生まれると思うのだ。もう聞き飽きたぐらい昔から、女性進出、女性の活躍などと言われているが、出産し、子育てという自分の思い通りにならないことだらけの日常を担っている子持ちの女性が活躍しなければ意味がない。
次ページから読める内容
- 「みんなで峰岸さんの分も協力してやりましょう」
- 「ランチ定食を10分程度で食べ終え…」
- 「なるべく早くお迎えに行きたいと思いますが」
- 「ねえ、自転車どこに置いたの!?」
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