「豆腐作り」は、小6の理科で習う『人体』の学習につながる
30分後、型から取り出すと、「うわぁ~、できた!」と大歓声。「早く食べたい! 早く!」と、子どもたちは食欲全開です。
そこへ辻先生、「ちょっと待った! 完成した豆腐がどんな状態かじっくり見てみようね。レポートに使う写真も撮っておこう」と、慌てて止めに入ります。
作りたての豆腐を食べた感想は、
と大好評でした。
辻先生はこう話します。
「豆腐はスーパーに行けば安く簡単に手に入るし、豆腐は大豆からできていて、大豆にはたんぱく質があり、たんぱく質は熱やにがりを加えると固まると教えてしまえば、それまでです。でも、お父さんやお母さんと一緒にひと手間かけて作ることで、夏の楽しい思い出になります。子どもは楽しい思い出は忘れません」
「理科分野に限らず、自由研究の目的は、物事に興味・関心を持つことです。小学生の子どもたちにとって、今日の豆腐づくりは、『みんなで一緒に作って楽しかった』『自分たちで作った豆腐はおいしかった』という感想しかないかもしれません。でも、それでいいのです」
「この自由研究は、6年生の理科で習う『人体』の学習につながっていきます。『たんぱく質は熱やにがりを加えると固まる』の先行体験です。原理が理解できるのはまだ先のことですが、『固まった!』という事実を目撃したことが大事。このときのインパクトが、のちに授業で出てきたときに、『あ、あのときの豆腐作りは、そういうことだったんだな』と気づかせます。自由研究にはそういうきっかけがたくさん隠れているのです」
<学習のポイント>
(1) 普段口にしている加工食品がどのように作られ、変化するかを体験する
(2) 大豆に含まれる「たんぱく質」は熱やにがりを加えると固まるという過程を見る
(3) 最初は「楽しかった」という感想で十分。小6の理科で習う『人体』の学習につながる