一般的に中学受験は、小学3年生の2月から始まると言われています。なぜなら、大手進学塾の中学受験のカリキュラムがスタートするのがその時期だからです。しかし、「私立の学校見学においては、それ以前の低学年のうちからやっておくといいでしょう。中学受験をする・しないにかかわらず、たくさんの学校を見ておくことは、家庭の教育方針を考えるよいきっかけになります」。そう話すのは、中学受験に詳しい安田教育研究所の安田理さんです。

 では、私立中学の学校説明会や見学は、どのように参加すればよいのでしょうか? 7月の小学校高学年向け特集後半は、中学進学準備に向けての私立&公立中学校の学校見学のポイントについて紹介します。今回は私立中学を知るためのポイントや学校選びのアドバイスを安田さんにしていただきました。

【年齢別特集 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 高学年のおこづかい 社会への興味が深まる
(2) 子へ伝えるお金の教養 正しい感覚を養うために
(3) 私立中学見学 わが子に合う学校選びのポイント ←今回はココ!
(4) 進学予定の公立中学をリサーチ 不安を解消するには?

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

中学受験 学校選びは低学年から始めるのがベスト

 私立中学の学校説明会は、大きく分けると2つあります。一つは複数の学校が一堂に集まって行われる合同説明会、もう一つは各学校で行う学校説明会です。

 合同説明会は春から夏にかけて、様々な場所で開催されています。大規模なものでいえば、毎年5月中旬に開催される「東京都私立中学合同相談会 Discovery 私立一貫教育」(2017年度は都内の私立中学173校参加)や、5月末に開催される「ベネッセ進学フェア」(毎年首都圏の私立中学約180校参加)などがあります(どちらも会場は東京国際フォーラム)。

安田教育研究所代表 安田理さん
安田教育研究所代表 安田理さん

 「こうした合同説明会は事前予約も要らず、誰でも気軽に参加できるので、中学受験をする・しないにかかわらず、足を運んでみるといいでしょう。学校選びは、低学年のうちからアンテナを張っておくのがベスト。ひとくちに中学受験といっても、首都圏にはこんなにも多様な私立中高一貫校があるのだということを知っておくだけでもいいと思います。ただし、当日はかなり混雑し、回れるブース数は限られています。お目当ての学校があればそこのブースを目指し、まだなければ気になる学校のパンフレットをもらい、家でじっくり見比べてみるだけでもいいと思います」とアドバイスする安田教育研究所の安田理さん。

 「受験を考えている高学年の家庭で、ある程度の条件が絞られている場合は、もう少し小規模な合同説明会に参加すると、より詳しい情報を得ることができます。例えば、通学時間は1時間以内にしたいと考えているなら、沿線の学校を集めた合同説明会や、『東京西地区』『相模大野・町田地区』『港北ニュータウン』などエリアをまとめた合同説明会に参加すると、学校数が絞られてくるので、見比べやすいでしょう」

 また安田さんはこうも言います。

 「公立中学・高校出身の親御さんにとって、キリスト教の学校や、男子校・女子校といった別学の学校はいまひとつイメージが湧きにくく、はなから選択肢から外している方も少なくありません。でも、こういう機会にこそ、ぜひ色々な学校を見てほしいと思います。

 合同説明会では、『キリスト教学校合同フェア』などのキリスト教の学校を集めたもの、『東京私立男子中学校フェスタ』『私立女子中学に触れる会 shisyokukai』などの別学を対象にしたものもあります。色々な学校を知ったうえで、中学受験をする・しないを検討してみましょう」

<次ページからの内容>
・合同説明会では、一度にたくさんの学校を知り、見比べられる
・系列大学にはどのくらい行ける? 各校の特徴を知るための目的別質問リスト
・首都圏・関西・愛知 7月中旬~8月に開催される合同説明会情報
・生徒や保護者の声を重視した新スタイルの学校説明会が増加
・同じ価値観の家庭が集まりやすい私学 親の服装や雰囲気も参考にして