16年間にわたって執筆した連載マンガ『毎日かあさん』が6月に最終回を迎え、「卒母」宣言をした西原理恵子さん。子どもが巣立つ日に備え、私たちはどんな心構えでいたらいいのでしょうか。ついつい過保護になりがちな親心の断ちきり方、人生に効く学歴、貧困生活から今や大金持ちとなった西原さんが考えるお金と仕事のこと、高須克弥先生との大人の恋……。気になるあれこれを日経DUALの羽生祥子編集長が本音全開でインタビューしました。
後編 西原理恵子 大人の恋のお作法と注意点、教えますはこちらから!

《主な内容》
● 母さんたちは娘を育てながら“自分供養”!?
● 私らが子どもの頃、習い事といえばそろばん教室くらい
● 娘が15歳を過ぎた時、アフターピルを教えた
● 私たちが母親世代に感謝すべきこと
● 貧困から富裕層へ。でも幸せのボーダー額は今でも「のり弁」

母さんたちは娘を育てながら“自分供養”!?

日経DUAL編集長 羽生祥子(以下、――) DUAL読者は共働き夫婦が多く、世帯年収も比較的高い。このママたちは稼ぐ力があり、情報収集にも貪欲で、いわゆる“意識高い系”だと言えます。でも、一見強そうですが、こと娘に対しては弱い(苦笑)。私も例外ではありません。自分がこれまで通ってきた道を振り返ると、キャリアの出だしからボウリングに喩えるなら「ガーターにドーン!」。立派な企業に就職していく同級生とは雲泥の差で、どこにも就職せず23歳で路頭に迷っていました。せっかく国立大学を出たのに卒業後はバイトや業務委託者となり不安定な日々。詐欺にあったり、働き先によっては給与の未払いにも遭ったり。おかげで20代の頃はいつもお腹が空いていましたね、文字通りハングリー精神(笑)。お店から食パンの耳をもらって空腹を凌ぐ、「東京の公園の水って結構おいしい」なんて言って水でお腹を膨らませる、会議に出した未開封のお弁当を失敬する……。戦後か!?って感じですよね。地方から上京して独りでド貧乏でした。

西原理恵子さん(以下、西原) ふむふむ。

―― で、何が言いたいかというとですね。ギリギリの環境をサバイバルできたのは自分だからであって、いざ自分の娘のこととなると、どーーしたって過保護になってしまう。公園の水を飲んでしのぐなんてありえない! 弁当の残り物を娘が食べているシーンを想像するだけで気絶しそうです。愛する娘には、ハードな人生に関わらせたくないと、つい思ってしまう。オマエが言うなというのは重々承知で。

西原 分かりますよー! 私もです。高須先生(*高須クリニック院長の高須克弥氏とは西原さんは事実婚の関係)に「娘に過保護なんじゃない?」と指摘されましたしね。私自身、大学受験するはずの日に父親が首を吊って死んじゃったり、学生時代がちょうどヤンキー全盛期で、シンナー吸って出会いがしらの男とセックスするとか、本当に自分からひどい目につっこんでったりもしたけど、要は私がバカすぎた。さすがに私の娘はそこまでじゃない。でも娘にはあんな目に遭わせまい、とついつい過保護に……。

 自分の過去に対する反動なのか、娘にはバレエを習わせたり、ブランド物の可愛い洋服を着せてみたり……。それこそ、お料理でも、お花でも娘がやりたいと言えば何でも習わせました。どれもちょっとかじっては「あれはないわ」と女の子特有の3日坊主で終わりましたけど。おそらく、娘に甘くなるのは“自分供養”なんじゃないかと。たぶんお母さんたちみんな子育てしながら、どこかしら“自分供養”していると思うんですよね。

―― 自分供養ですか?

「娘にはついつい過保護になってしまう」と、西原理恵子さん
「娘にはついつい過保護になってしまう」と、西原理恵子さん