保育園に対するニーズは、実に多種多様化している

『保育園問題』著者の甲南大学教授・前田正子氏
『保育園問題』著者の甲南大学教授・前田正子氏

 それは、「現在、働く母親」以外の保育園ニーズに紙幅が割かれていることです。特に心に響いたのは、子育て中に週2~3回程度働きたいと希望する人は、今の仕組みでは保育園の入園申し込みすらできない、ということです。

 待機児童の多い都市部において、入園審査の実質的な競争は「フルタイム」「両親共働き」「実家が遠く祖父母に頼れない」「0歳児」となっています。本当は、もっと子どもと一緒にいたいのに、1歳、2歳からでは保育園に入れないから、やむなく0歳から預ける親は少なくありません。また、本当は時短勤務や週2~3回程度の自営業などゆるやかに働きつつ子どもとの時間を取りたい、という希望が、今の仕組みでは全くかなえられません。

 私自身、2人の子どもを0歳から保育園に預けて会社員の仕事に復帰しました。正直言って、確実に入れるなら、下の子は1歳半くらいまで一緒に過ごしたかったと思います。また、早くに預けて働いていた上の子については、2歳ごろにもう一度、育休を取りたかったな、と強く思いました。