── 主夫になって良かったと思う瞬間って、どういう時ですか?

堀込 子どものことを情報共有しながら日々の成長を見守れるということですかね? それとともに、例えば僕が休日の晩ご飯っているとき、妻と子どもが3人で団らんをしている。それをキッチン越しに眺めながら料理をするのがものすごく好きなんですよ。その瞬間が何よりも一番、幸せを感じる瞬間ですね。

 やはり、仕事復帰しようと長男と妻を米国に残して帰国した4カ月間の辛い経験がそれからの人生に大きな影響を与えたんだと思います。その後も色んな選択肢があったし、これからもあると思うのですが、まずはその時のことを頭に浮かべつつ、これからも考えていくことになるでしょうね。

お互いに感謝の意識を持つようになると夫婦円満になる

── 最近は、主夫になりたいと思うパパも増えてきたといわれますが、どう思いますか?

堀込 そういう質問はよく投げかけられるので増えているのは確かなんでしょうけれど、主夫になりたいと思っている男性が本気なのかどうかがよく見えないんですよね。もし、稼ぎは妻に任せて楽ができると思っているだけなら、そういう人たちには、それは間違いだということをハッキリ言いたいですね。家事も育児も、甘い考えではできませんから。

 ただ、「秘密結社主夫の友」のCEOとしては、主夫になる人を増やしたいということで活動しているわけですから、うれしいことですよね。ちょっと前までは、主夫と言えば「ヒモ?」って思う人も多かったわけですが、ここ2年くらいで多くのメディアで取り上げていただいたことで、ずいぶんと主夫に対するイメージが変わってきたと思います。

 裏を返せば、それだけ世の中が変わってきたということだと思います。それが、われわれ主夫の友の活動の成果なのか、世の中の流れがそうなっただけなのか。僕は両方なんだろうと感じています。

── やはり、東大卒で大学院も出て大企業で働いていた夫が、たまたま家庭の事情で主夫になったというところが、世間から注目されるポイントではありますよね。

堀込 繰り返しますが、そんなにスゴいことをしているつもりは毛頭ないんですよ。もっと言えば、みんなが僕のマネをしたらいいっていうことではないですから。ただ、取り上げていただくことはいいことですし、ありがたいのですが、果たして自分から発信することで誰にどう影響を与えることになるのか、僕自身がよく分からないというか……。

 ただ、ハッキリ言えるのは、僕のようにはできないけれども、今より主体的に家事・育児をやってみようと思って、これくらいならできるかなといったヒントだとかキッカケ作りになれればいいな、と。妻に家事も育児も任せっきりにするのではなくて、自分も今よりちょっとだけでいいから、主体的にやってみようというパパが増えるといいなあと思っています。

── 主夫になると、夫婦関係が変わってくることがありそうですが、どうでしょうか?

堀込 それは、ありますね。感謝をお互いにすることをものすごく意識するようになります。僕の場合は妻が先に意識するようになっていったのですが、仕事から帰宅すると、必ず「ありがとう」と言ってくれるんですよ。僕が家を見てくれていたおかげで、自分は仕事に専念することができた、と。

 特に出張帰りのときなどはしっかりと言ってくれます。本当は疲れているんでしょうけれど。出張帰りの夫がちゃんと妻にお礼を言う場面って、ほとんどないんじゃないかと思います。お礼を言うどころか、「出張で疲れているんだ」みたいな感じで、妻に気を使わせてしまうといった感じでしょう。

 だから、そういう面では、夫が主夫としての意識を持つようになると、その大変さを知ることにもなるので、さらに夫婦円満になれると思います。お互いに感謝する気持ちを持つようになれますから。実はこれがものすごく大事なんですよね。そうなると、例えば、帰宅したときにビールが冷やしてあったら、素直に「ありがとう!」って言えるようになる。そういうことが大事だと思いますね。