自分のタイムスケジュールを細かく書き出して説得
全体から見るとわずかですが、「今はワンオペではなくなった」と答えた人(83人)のうち、27人が「話し合って家事分担の比率を変えた」と回答しました。実際に変えられた人に、何について話し合い、どんな工夫をしたか、具体的に変わった点などを答えてもらいました。
最後に、「『ワンオペ家事育児』が世の中からなくならない理由」を聞いたところ、様々な回答が寄せられました。
■「家事育児は男の仕事ではない」という価値観
・男性は、家事育児に苦手意識を持ち過ぎ。「得意なんだから、妻がやったほうが」「子どもが、自分は嫌って言うし」と言いますが、同じセリフを職場でも吐くのかと聞きたい。
・専業主婦の母親に育てられた世代が親になり,自分の稼ぎだけでは家族全員を養えないにもかかわらず、家事・育児は母親がするものという概念がぬぐえない。共働きということは家事育児も共に協力し合うことだということが分からない男性がいまだ多い。
・「家庭はオフの場」という男性側の意識。
・社会全体の意識がまだまだ変わっていない。女性活用という名のもとに負担が女性にかかるような施策ばかりが進んでいる。
・夫の親は「息子にやらせるなんてかわいそう。あなたが仕事を辞めるかパートになればいい」という趣旨のことを言うので、夫がいつまで経っても心の底では変わらない。
■労働環境・男女の賃金格差
・残業していると仕事しているとみなされる勘違い組織文化。男性・女性も関係なく残業はあまりしないで仕事をする仕組みや風土がほしい。
・子育て中の男性への配慮の欠如(社会、職場の)。男性が早く帰りたくても「未就学児がいるので」と早く帰宅する雰囲気のところはほとんどないのでは、と思います。
・夫の残業や出張が多い→育児頻度の低下・不慣れ→子どもが懐かない、というマイナススパイラル。
・長時間労働させる前時代的な考えを持つ上司たちとそれに倣うことを厭わない男性社員たち、そしてその男性社員の働き方に具体的な異議を唱えることのできない女性たち。
・企業の管理職が女性が家事育児をして当然と思い、家事育児をきちんとしようとする男性を出世コースから外したりハラスメントをしたりすることが多い。外資系企業ですらそういう人が上に立っていることもある(実際夫がその憂き目に遭いました。露骨に役員から、君の奥さんは何で家事育児を全部やらないのかと言われました)。
・男女の賃金格差、ひいては非正規雇用の増加が問題。うちは夫が正社員、妻が非正規雇用のため、同じ時間働いていても、給与に2倍ほどの差がある。給与が高いほうが「俺が仕事頑張ってるんだからおまえは家事をしろ」と思ってしまうのだと思う。
・共働きの場合は、育児休暇中にワンオペ体制が出来上がってしまうから。
・週末にいろんなサービスを受けられるのが当たり前の社会では、週末にいろんな人が働かざるを得なくなり、それがワンオペ育児を引き起こしているとも思う。
・絶対的な業務量が減らない限り、現状は変わらないと思う。業務量が変わらなければ、時短などで早く帰る人がいる代わりにそのような事由がない社員にしわよせがいきがち。
・家庭に重点を置くと、出世できない。2人とも出世できないのは辛い。せめて1人は普通に出世できないと困る。働く時間が少ないと、(密度が濃かったとしても)出世しにくいというのが問題では。
・旦那の職場は、ママさん社員がいない。旦那以外の職場の人は全員奥さんが専業主婦。そんな職場では、若い人であっても、「子どものために休むことはあり得ない」。
■女性自身の思い込み、諦め
・見えない要因として、女性の側の気の持ち方やこだわりがある。自分でやりたい、人に任せたくないという気持ちが強いと、なかなか分担できないのではないか。
・育児家事に関する小手先の「How to」や「べき論」が溢れ過ぎていて、ワンオペを解消したいと思う人(主に女性)が情報過多に陥り、パートナーと情報、意識レべルの差が開き過ぎていて話し合いが成立しないこと。
・頼んでも無理だろうと思い込んでいる妻。意外と頼んだらやってくれる場合もある。頼んだらやるんじゃなくて、言わなくてもやってほしいという意見ももっともだが、ある程度やってみる経験を積んでいくと主体的に動いてくれる気がする。
・.女性も専業主婦の母親、昭和生まれ以前の両親に育てられ、夫など男性に育児家事を任せたい気持ちをうまく伝えていない。我慢する、諦めるという思考に育てられている傾向があるため。
(構成・文/小林浩子)