前回は夏の病気とプールなど水遊びに潜む感染症リスクについてお伝えしました。今回は「熱中症」がテーマです。熱中症になりやすい環境からその予防法、そもそもの原因である脱水を防ぐ方法まで、役立つ情報をお届けします。前回に引き続き、「知ろう小児医療守ろう子ども達の会」代表の阿真京子さんに聞きました。

【年齢別特集 保育園のママ・パパ向け】
第1回 要注意! この夏流行する3つの病気と水遊び対策
第2回 熱中症対策 正しい水分補給とエアコン活用術 ←今回はココ!!
第3回 夏の親子旅 パパは“冒険型”の旅育を
第4回 夏旅完全マニュアル 準備からおすすめスポットまで

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

熱中症患者が急増中

 阿真京子です。総務省消防庁は、全国で7月3日~7月9日の1週間に5269人が熱中症で搬送されたと発表しました。その前の週の1977人から大きく増加しており、消防庁は、適度な休憩やこまめな水分補給といった予防策をとるよう呼び掛けています。

 数十年前より明らかに平均気温が高くなり、夏場は室内外問わず、熱中症で搬送される人が後を絶ちません。しかし、環境省は「熱中症は死に至る可能性のある病態(病気)であるが、予防法を知っていれば防ぐことができること、適切な応急処置を知っていれば救命できること」(熱中症環境保健マニュアル2014より)とうたっています。

 乳幼児の場合は、熱中症のそもそもの原因である脱水症になりやすく、進行も非常に早いため、脱水のサインに早い段階で気づき、対策をとることが大切です。予防法と対処法を知って、しっかり防いでいきましょう。

 まず、熱中症にかかりやすい環境は、気温28度以上、湿度75%以上、風通しの悪い場所の三つです。こうした環境下にいる場合は、エアコンをつける、屋外なら風通しのよい日陰に移動するなどして、長時間その環境にとどまらないようにしてください。

 加えて、体調が良くない、暑さに体が慣れていないなどの個人の体調による影響とが重なることにより、熱中症発生の可能性が高まります。

 子どもは背が大人より低いため、屋外にいる場合は地面の照り返しによってより高い温度にさらされます。また体温調節機能が未発達な上、代謝が活発なので、大人が気付かないうちに体内の水分を失っていることがあり、急速に脱水症が進行しやすいのも特徴です。

<次ページからの内容>
・熱中症予防6つのポイント
・熱中症の分類ごとの対処法と早期診断方法
・大汗をかいた後は経口補水液を
・エアコンの温度設定は子どもの様子を見て
・入浴の習慣と毎日の過ごし方が大切