よき妻、よき母であらねば……。実母の呪縛にとらわれないで!

 わが家では夜に家事のやり残しがあっても、時間がきたらベッドに入り、朝早く起きて片付けます。家事をするのは私だけではありません。夫や子どもが家事を分担してくれるように仕組んできました。

 夫は母親に「あなたは勉強だけしていなさい。台所には一歩も入ってはいけません」と言われ、一切家事をせずに育ってきた人です。しかし、結婚してからは台所に入り浸っています。単身赴任中の今も「外食は量が少ない」などと言い、朝も夜も自炊。お昼のお弁当も自分で作っているようです。

 娘には、私がもし病気になっても困らないよう、高校生になるころには家族の食事の支度ができるようにと、ステップを踏みながら教えてきました。

 私のモットーは“台所を主婦が独り占めしない”こと。働いていてもいなくても、ママが一人で家事を担当するなんて、どう考えても無理です。でも、女性の活躍推進が叫ばれている現代でもなお、たいていのママは家事や育児は自分の役目だと思っています。それをしないと「第三者」から認めてもらえないのではないかという不安やプレッシャーを感じているのです。話を聞いてみると、その「第三者」がしばしば実の母親であることが多く、実母の呪縛にとらわれているママはたくさんいます。

 そのようなタイプの実母の多くは、子育てに口を出してきたり、様々な場面でプレッシャーをかけてきたりします。ママたちは「ちゃんとした親にならなければ」という気持ちを常に持たされているのです。

 加えて、実母世代は専業主婦としてがんばってきた人が多いので、食事の支度に手抜きをしたり、夫に洗い物をさせたりするなんてもってのほかという考え方。‘旦那様’のワイシャツにもピシッとアイロンをかけて当たり前! そういう世代なのです。

 私なんてアイロンがけをしたこともなければ、「あとはお願いね!」と言い残して、夫や娘に洗い物を託して出勤してくることがしょっちゅうです。実母がそばにいたら、間違いなく「夫に皿洗いをさせるなんて!」と言われることでしょう。

 娘の家事や子育てに干渉したくてしょうがない実母の呪縛があり、なおかつ寝不足だったりするとママの心はどんどんと後ろ向きになり、子どもにも優しくできなくなります。いいことはひとつもありません。時代は変わりました。実母の呪縛にとらわれる必要は全くないのです。家事を一人で抱え込むことはやめましょう。

 常々思うのですが、男の子でも女の子でも子どもはママのために働きたいと思っているようです。自分のしたことがママの役に立つのなら、子どもは素直にうれしいと感じているはず。また、生活は親だけが回すものではありません。家族は運命共同体ですから、子どもにも責任があります。子どもに家事を頼むことに遠慮はいらないのです。できることから少しずつ、家事を担当してもらいましょう。