警察官と言えば、今も昔も子どもたちが将来なりたい職業の定番ですが、かつては長時間労働など、共働き育児が可能な働き方とは言えませんでした。しかし、時代の変化とともに警察官の仕事や環境も変わりつつあります。

 前回に引き続き、“元お巡りさん”のDUAL編集者が多摩中央警察署の交通課で時短勤務をしている田中健司警部補にインタビューしました。後編をお楽しみください。

「今度はパパが育休をとってね」

日経DUAL編集部 田中裕康(以下、―― ) 奥様は出産から1年半後の2016年春に職場復帰されたということですが、そうすると保育園は1歳入園ですね。都内にお住まいとのことですが、“保活”はどうでしたか?

田中健司警部補(以下、敬称略) 正直、大変でしたね。私はどこか楽観的で、「夫婦共働きなんだから認可保育園に入れるだろう」と甘い見通しでおりましたが、とんでもなかったです。

 認可保育園は全滅。妻からは「私は1年半も仕事を休んだんだから、保育園が見つからなかったら今度はパパが休んでね」と言われていたので、私も必死になって探しました(苦笑)。

 なんとか無認可の保育園を見つけて、預けることができました。見つからなかった場合は育休を取る可能性があることを上司に伝えてはいましたが、そうなると色々大変なので、本当に良かったです。今年の春には認可保育園に移ることができました。

―― とはいえ、現在も時短勤務の制度を利用されていますね。警視庁の育児支援制度について教えてもらえますか?

田中 警視庁の「育児休業」は、一般的なものと同じく子どもが3歳に達するまで取得が可能です。私が取得している「部分休業」は、子どもが小学校に上がる前までは、1日2時間以内の時短勤務が可能な制度です。その他にも子どもの看護休暇など、個人的には警視庁の制度は手厚いと感じています(警視庁の育児支援制度については下図参照)。

 警視庁の職員では、今年度で部分休業を含めた育児支援制度を利用している男性警察官は、200人程度いると聞いています。

―― 200人と聞くと、かなり多いように感じますね。とはいえ、警視庁に所属する警察官は4万3144人(2017年1月1日現在)なので、割合としてはまだ高くないというところでしょうか(編集部注 2015年度の警視庁の男性警察官の育休取得率は0.2%。政府は2020年までに男性の育休取得率13%を目標値としている)。

田中 200人といっても、子どもが生まれた際に数日間の休暇制度を利用した男性警察官がほとんどのようです。育児休業や部分休業を取得している男性警察官はまだごく少数です。

 多摩中央警察署でも、私以外に部分休業を活用している男性職員はいません。私もドキドキしながら申請しましたが、問題なく許可が出たのでありがたく利用させていただいています。