校舎から出てきてすぐに、「来年も来たい!」

 「子どもたちは、“自分は誰かに気にかけてもらっている、愛されている”と感じながら育つべきだ。そういう意識が、私たちボランティアを駆り立てているの」と、長年このイベントに関わる高齢の女性、アナベルさんは言う。地域差はあるが、「チャーチ・サマー・ホリデイ・クラブ」はもともと、ヴァカンスに出かける余裕のない低所得層の子どもにも楽しい夏の思い出を、というチャリティー精神で始まっているため、参加費も(5日間のおやつ代、工作の材料費、バーベキュー・パーティー代をひっくるめて)わずか10ポンド(およそ1500円)。民間のデイ・キャンプに参加すれば一日100ポンドほどする中で、この額は破格だ(教会本部から補助金が出るのと、人件費がかからないため、この額での運営が可能となっている)。

 確かに毎年参加するうち、子どもの心には夏休みの楽しい思い出が刻まれるだろうし、地域愛も育ちそうだ。ボランティア・スタッフの中には、この趣旨に賛同するイスラム教徒やヒンズー教徒もいるという。移民や格差の問題が顕在化している今、こうしたコミュニティー活動は英国社会にとって大きな存在意義を持つが、ここ日本でも、特に人と人とのつながりが希薄になりがちな都市部でもっと行われてもいいのかもしれない。

月曜日に制作した“味覚”アクティビティの作品、フルーツ人形。もちろんこの後、おやつとして胃袋の中へ
月曜日に制作した“味覚”アクティビティの作品、フルーツ人形。もちろんこの後、おやつとして胃袋の中へ

最終日に制作した“視覚”アクティビティの作品、飾りメガネとティーライト・ホルダー。水彩絵の具を使った塗り絵やお絵描きも
最終日に制作した“視覚”アクティビティの作品、飾りメガネとティーライト・ホルダー。水彩絵の具を使った塗り絵やお絵描きも

 さて、最終日。地元の学校に通う子どもたちの集団に飛び込んだわが子は、さすがに親しい友人こそできなかったが、同世代の子たちと毎日顔を合わせ、プチ留学気分を満喫。たくさんのボランティア・スタッフに話しかけられ、日本で学んでいる英語の実践練習にもなったようだ。すべてのプログラムが終わり、校舎から出てくるとすぐ「来年も来たい!」と抱きついてきた。その様子を見て、満足そうにうなずくアナベルさん。「これから片付けとスタッフの反省会があるから」と、校舎の中へと戻っていった。

5日間のプログラムが無事に終了し、笑顔を見せる牧師のニックさん(右)、ボランティアのアナベルさん
5日間のプログラムが無事に終了し、笑顔を見せる牧師のニックさん(右)、ボランティアのアナベルさん

*チェリー・ヒントンの「ホリデイ・バイブル・クラブ」2017年は7月24~28日に開催。詳細はhttp://www.ch-bc.org.uk/HolidayClub を参照(応募フォームにはかかりつけの医師の電話番号等を申告する欄もあるので、海外から参加したい場合はまず子どもの年齢や英語力を記し、教会に相談を)。

(文・写真/松島まり乃)