父になったからこそ出たブルブルの父役の声
―― ブルブルのお父さんの出演シーンの満足度は?
天野 どうなんでしょうねぇ…。矢野(博之)監督からは「ライオンの親が子どもを一人で旅に出すけれど、谷に落とすような厳しい思いだけではなくて、うちの子どもなら大丈夫だという我が子を信じる気持ち、愛に裏付けされた厳しさで演じてほしい」という指示だったので、自分の子どもに言うようにセリフを言いました。
うちの子は、まだ映画館デビューをしていないので、この映画をぜひ家族で一緒に見たいですね。子どもが騒いでも大丈夫な作品なのでね。
―― 神殿の門番<いいかげんに城>役のウド鈴木さんのシーンはいかがでしたか?
天野 そうですね、ほぼノータッチです。ウソです(笑)。一緒に収録したんですが、まさかの出来事がありました。本番テイクのOKが出た後に、「こんなアフレコをやりました」という“アリバイ”の収録をしたんですが、彼は非常にリラックスしたのか、監督が本番より素晴らしいと言って、アリバイのテイクを映画に使うことにしたんです。
―― それは面白い裏話ですね!
天野 ええ、本番はなんだか異常に硬くてね。お城なんで硬くていいんですが、ちょっと硬過ぎたんですね。
―― うまい! さすがです(笑)。
天野さんは、これまでも声優のお仕事を何度かされていますが、ご自身もお父さんになられてから、お父さん役の声を演じるというのは、どのようなお気持ちでしたか?
天野 親になってなかったら、声が違ったんじゃないかなと思いました。海外で働くお父さんに、内緒で子どもが突然会いに行くという番組(『世界で働くおとうさん』)のナレーションをさせていただいているんですが、やっぱり親になってからのほうがより強く感情移入しているかもしれないです。グッときて、ちょっと詰まってしまうこともあるくらいです。だから、今回も親としての感情が入ったと思いますね。