子どもの人格や性格は、10歳ごろまでに形作られる

 アドラー心理学では、一般に人格や性格と呼ばれるものを「ライフスタイル」と言います。そして、現代のアドラー心理学では、子どもはおおむね10歳ごろまでに自己のライフスタイルを確定させると考えています。古荘教授の調査によると、自尊感情は小学校4年生あたりから顕著に下がり始めるそうです。また、長年うつ病の研究をしている精神科医の村田豊久先生によると、この年ごろで経験するアクシデントやショックな体験が、うつ病発症のきっかけになることが多いそうです。こうした調査結果から、ライフスタイル形成の最終段階にある10歳前後の子どもへの関わりは、特に注意が必要と言えるでしょう。

 QOL得点の低い小学生の親が評価する子どものQOLは、子ども自身がつけた得点よりも明らかに高くなりました。つまり、子どもが精神的な健康状態を維持できていないという事実に、親は気づいていないということです。どうやら、自分の言動が子どもに与える影響について、真摯に学び、関わり方を見直すことが大切だと言えそうです。

 日本の子どもたちに「勇気くじき」がまん延していることを、複数の調査結果から見てきました。恐らく「勇気くじき」の風潮は、子どもたちの間だけではなく、大人の社会にも広まっており、このような背景があるからこそ、アドラー心理学がこれだけ急速に日本の社会で求められるようになっているのだと思います。

 私の著作、アドラー子育て・親育てシリーズ第1巻『育自の教科書~父母が学べば、子どもは伸びる~』では、私たち親が子どもに望む「自立」をこのように定義しました。

 <自立とは>
1.保護者(通常は親)の保護から精神的に独立して
2.自分のことを信頼しながら
3.社会(他者)との適切で建設的な関係を構築して生きていくこと

 アドラー心理学では、このような「精神的な自立」を確保することこそ「幸せな人生を歩むこと」に他ならないと考えます。

<アドラー心理学 【幸せの3条件】>
1.ありのままの自分を認めることができる人が(自己受容)
2.周囲の他者を信頼しながら(他者信頼)
3.自己を犠牲にすることなく、他者に貢献する(他者貢献)

 各家庭の子どもたちが、幸せな人生を歩むためのすべとして【アドラー心理学 幸せの3条件】を実践する親の背中を見て学んでいけば、恐らく、子どもたちの自尊感情が年を重ねるごとに低下していくような現状は大きく変わると思うのです。