あ、ここで「工夫が足りない」とか「こうすれば食べるのに」とかのご親切なアドバイスは結構です。私と夫はそんなものとっくに試して、あらゆる手を尽くしました。それでも子どもが食べ物にさして執着しないことに変わりはなかったんです。はいはい、それもそれもそれも、試しましたよ、やりましたっ。

夫の料理で育っている息子たちへの好影響

 でまあ、食卓が修羅場であることは、子どもの精神衛生上も非常によろしくないと判断した私は、食事作りをやめたのである。以来、わが家の食事はすべて夫が作っている。夫は料理に私ほどは思い入れがない。私のように「せっかく作ったのに」的な恩着せ行為をしないので、食卓はとても穏やかになった。

 では素晴らしい料理上手かというと、そうでもない。美味しいときもあるし、コメントしづらいときもある。正直言って、まずいもの耐性の低い私はときどきそれで痩せてしまうこともあるのだけれど、栄養失調にはならない。息子たちは普通に食べている。夫なりに頑張っているし、みんな健康に暮らしているので十分だ。これで息子たちは「おふくろの手料理で育った俺としては、やっぱり美味しいご飯を作ってくれる女子がいいなあ」などという生きる力ゼロ男子にはならないだろう。将来、どんな微妙なご飯が出てきても動じないための、いい訓練だと思っている。

 そもそも、息子たちには自分でご飯を作れるようになってもらわないと困る。長男は料理好きなので大丈夫そうだが、次男はまだ一度くらいしかやったことがない。だから私が日本に出稼ぎに行っている間に夫は日頃から手伝いをさせて、どんどん自分の家事負担を減らせばいいのに、なかなかやらせようとしない。「俺がやった方が早いから」と。いやそうじゃなくてさ、これ自立のための教育ですから。

夕食の片付けをする息子たち。長男がひと月50ドルの契約でやっている仕事ですが、今夜は次男もお手伝い。鍋やお皿を食洗機に入れて、流しもレンジもきれいに拭き掃除します。今では15分ほどで完璧に出来るようになりました。
夕食の片付けをする息子たち。長男がひと月50ドルの契約でやっている仕事ですが、今夜は次男もお手伝い。鍋やお皿を食洗機に入れて、流しもレンジもきれいに拭き掃除します。今では15分ほどで完璧に出来るようになりました。