“子どもの将来の仕事選び”にどう親は関わっていくのか。こうなってくれたら…と親が思う道も、変わりゆく世の中では通用しなくなる可能性があることを、現役で働くDUAL世代なら痛感していることでしょう。だからこそ、子どもの将来の道は、自分で選んで決めてもらいたい。子どもが選んだ道ならば、全力で応援したい。そのために、最適な時期に最良のアシストをしたい……。

 では実際に今、成功しているDUAL世代のワーママたちは、どんなアシストを受けてきたのでしょう? 現役ワーママの親世代は、専業主婦が大半を占めていたのでは? その中でどのようにして国際感覚を身に付けさせ、職業理念を身に付けさせたのか。ユニリーバ・ジャパンで取締役 人事総務本部長を務める島田由香さん、サイバーエージェントで執行役員を務める石田裕子さんのお二人に、ご両親から受けた「絶妙アシスト」について伺いました。そこには、いくつかの決定的な共通点がありました。

【子どもが幸せになる将来のおしごと 特集】
第1回 子に好きな道歩んでほしい親が多数 読者アンケート 
第2回 好き・夢中を信じる力こそが子の幸せキャリアの近道
第3回 私を後押ししてくれた「アシスト賢母」の言葉と教え ←今回はココ
第4回 子どもを持つ親に人気「グローバル企業」のリアル
第5回 4つのスキルさえあれば、子どもが世界で通用する

ユニリーバ・ジャパン 島田由香さん:両親は一度も強要しなかった

島田由香<br>ユニリーバ・ジャパン取締役・人事総務本部長。東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、パソナに入社。2002年に米国コロンビア大学大学院へ留学し、組織心理学修士を取得。その後GEでHRマネジメントに携わる。2008年にユニリーバ・ジャパンに入社。HRマネジャー、ダイレクターを歴任し現職。米国NLP協会マスタープラクティショナー、マインドフルネスNLPトレーナー。日本の人事部HRアワード2016 個人の部・最優秀賞受賞。
島田由香
ユニリーバ・ジャパン取締役・人事総務本部長。東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、パソナに入社。2002年に米国コロンビア大学大学院へ留学し、組織心理学修士を取得。その後GEでHRマネジメントに携わる。2008年にユニリーバ・ジャパンに入社。HRマネジャー、ダイレクターを歴任し現職。米国NLP協会マスタープラクティショナー、マインドフルネスNLPトレーナー。日本の人事部HRアワード2016 個人の部・最優秀賞受賞。

 食品・日用品の世界大手ユニリーバの日本法人、ユニリーバ・ジャパンで取締役人事総務本部長の島田由香さんは、現在最も注目される“人事の改革者”の一人。2016年7月から、働く場所と時間を自由に選択できる制度「WAA(Work from Anywhere and Anytime)」の導入と、残業時間を月45時間以内にという目標設定をスタートさせた同社で、その実現に尽力し、働き方改革を成功に導いてきている。そして現在中学2年生の男子を持つ、ワーママでもある。

 島田さんは慶應義塾大学総合政策学部卒業後、パソナに入社。同社でジョイントベンチャーの立ち上げなどにも携わった後、米国コロンビア大学大学院に留学し、組織心理学修士を取得。帰国後にGE(ゼネラル・エレクトリック)でHRリーダーとして多様な事業のHRマネジメントを担い、2008年にユニリーバに入社し、現職に就いた。

 島田さんは大学時代から組織の面白さに気づき、「人事で世界を変える」というビジョンを掲げてまい進しているが、固定観念や既存のシステムにとらわれずに信念を持って進んでこれたのは、子ども時代からの経験が大きい。

 島田さんが子どものころの家族構成は両親と島田さん、弟の4人。父は世界を股に掛けて活躍するジャーナリスト、母は専業主婦だったという。

 両親は、島田さんに何かを強要するようなことが一度もなかった。一方で、やりたいと思ったことに対しては反対することなく、どんどん挑戦させてくれた

 「習い事でも受験でも、これをやりなさいということはありませんでした。ただ私がやりたいと言えば、挑戦させてくれる。例えば小学校低学年で始めた書道、ピアノ、スイミングは母自身に習っておいたほうがいいという判断もあったかもしれませんが、“やらされた”という記憶は一切ありません。小学4年生ごろ、テレビでフィギュアスケートを見てスピンがしたい! と思って相談したら、近くの教室に通わせてくれましたし、同時期に新体操を見てバク転に憧れて習いたいと言えば、たまたまスケート教室の隣にあった体操教室に通わせてくれました」。

<次ページからの内容>
・「今のつらいことは、次のいいことのためにある」という教え
・「世界は広い、主体性を持ちなさい」と父
・島田さんが後押しされた親の「絶妙アシストベスト3」
 「今の私を導いた言葉」
・島田さんの「母として子どもにしたいアシスト」
・サイバーエージェント・石田裕子さんは自分で決めて、始めたら、続ける
・大手の内定が出ても「就職先は裕子が決めたほうがいい」
・石田さんが後押しされた親の「絶妙アシストベスト3」
 「今の私を導いた言葉」
・石田さんの「母として子どもにしたいアシスト」