梅雨が明けると、本格的な夏がスタート! 近年は、最高気温が35度以上になる「猛暑日」という言葉を耳にすることが増えました。気象庁の発表によると、2017年の夏は例年よりも気温が上がるとのこと。暑さで体調が不安定になりがちな季節、働きながらの妊娠生活を無理なく快適に乗り切るためのアドバイスを、5歳の女の子と1歳の男の子のママで産婦人科医の宋美玄(そん・みひょん)先生にお聞きしました。

【年齢別特集 妊娠~職場復帰ママ・パパ】
(1) 働く妊婦 夏を健やかに乗り切る注意点 ←今回はココ!
(2) 妊娠中 食べていいもの・悪いものの誤解
(3) 妊娠中の旅行 移動の注意点と里帰りのタイミング
(4) 30代 ・40代妊婦 やっていいこと悪いこと

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

働く妊娠中ママは「とにかく無理をしないこと」

 「仕事柄、たくさんの妊婦さんに接していますが、夏は妊婦さんにとって最も過酷な季節です」と話すのは、産婦人科医の宋美玄先生。暑さやつわりなどで食欲が減りがちな時期、母体面の栄養も心配です。妊娠中のママがこの時期、特に気を付けておきたいことは何でしょうか?

 「妊婦さんは、とにかく無理をしないこと。これに尽きます。ただでさえ脱水状態になりやすい夏、つわりによって食欲が低下し水分が十分に取れていない状況で、夏の暑さを迎えるのはなかなか過酷です。また、妊娠後期は、おなかの中の赤ちゃんが成長し重くなったおなかを抱えて生活するだけで体力を消耗します」

 「そうした中、仕事をしている妊娠中のママは、産休を前に『今のうちに頑張っておかなければ』とつい無理をしがち。責任感の強い人ほど無理をしがちな傾向があります。おなかが張っても休憩できなかったり、出血してもすぐに病院に行けなかったり…病院の検査などで休みを取ることはあっても、自分のコンディションに合わせて体を休めるといったことがしづらい環境にいる人もいます」

 「特に2人目以降出産予定の妊娠中ママは、自分のペースで休むことが至難の業。つわりでつらくても上のお子さんのお弁当を作ったり、保育園に送り迎えをしたりと、何かと無理をしがち。おなかが張っているな、と思ったら座って休む、おかしいなと思ったらすぐに病院に行く。立ち仕事でおなかが張るようなら、上司に言って部署を変えてもらうことも考えるべきです。妊娠中は『赤ちゃんの運命を自分が握っているのだ』という気持ちで、赤ちゃんのことを最優先する心づもりでいてほしいですね」

 妊娠中の時期は、「あれは駄目」「これは駄目」と制約が多いのも特徴。母子ともにリスクを減らし、健やかでいるのは大切なことですが、ストイックに全部を気にし過ぎると、かえってストレスもたまってしまいます。絶対駄目なものは何で、どこまでが緩めてもいいものなのでしょうか。

 次のページからは、妊娠中の過ごし方で一般的によく言われる「冷え」「塩分」「体重増加」の三大注意点について、宋先生が本当のところを具体的に解説していきます。

<次ページからの内容>
・ 「太らない」「冷やさない」「塩分は控える」は間違い
・ 夏の妊婦「皮膚トラブル」に注意
・ 塗り薬は正しく使って早く治す
・ 妊娠すると気になるシミ、むだ毛