グローバル時代、お金の教養は子ども時代から身に付けたい
小学校高学年になると、お金に対する関心が広がっていきます。「お父さんとお母さんのお給料はいくらなの?」「ローンって何?」「うちの家賃っていくら?」……など、とどまるところを知らない子どもの興味に、ドキっとすることもあるでしょう。こんなとき、親はどこまでその疑問に答えてあげたらよいのでしょうか?
ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんは、「子どもがお金に興味を持つのはとてもいいことです。日本のご家庭では子どもにお金の話をすることに対して抵抗感があるという方もいますが、アメリカでは『お金は労働の対価として受け取るもの』という教育が早い段階からされています。これからの人生100年時代、グローバル社会に生きる子どもたちには欠かせないお金の教養。高学年のお子さんであれば、これは家の中だけの話なのか、外で話していいことなのかは自ずと分かってくるもの。ある程度の分別がつくようになったら、自分を取り巻くお金の流れを知ることは大事なことでしょう」とアドバイスします。
共働き家庭はパパとママ双方から、働きながら子育てをする実生活と結び付けながら、子どもに“労働と対価”についての説明をする機会をつくりやすい環境。
「家や車、家電などがいくらするのか?といった話が日常の中で出てきたときには、各ご家庭が伝えられる範囲の中で概算額を答えてあげてほしいです。そのうえで、『お父さんとお母さんが働いて、貯めたお金の中から買えるんだよ』『ものやサービスにお金を使うと、貯めたお金は減るんだよ』『欲しい人がたくさんいて、売りたい人が少ないと値段が高くなるんだよ』といった基本的な仕組みを分かりやすく教えてあげるといいでしょう」
こうした日常の積み重ねによって、お金の概念や単位への理解が深まり、教養は感覚的に身に付いていく、と高山さん。
「生活とお金を結び付ける視点を身に付けることで、世界の見え方も変わりますし、物事の背景に気づくことができるようになります」
「また、子どもだけでなく親も、子育てを通じてお金の“生きた”使い方について改めて学び直す意識を持つことは重要です。お金は自分の生活を構成するものである一方、将来の夢を実現し目的を達成するときにも必要なもの。自分なりの幸せを実現するには、身の丈に合った暮らし方をしていくことはもちろん、将来のための貯蓄や可能性を広げる自己投資をしていくことも大切です。普段の共働き生活の中から、“夢を実現するためのツール”としてのお金の使い方についても親から子へ伝えてもらえるといいですね」
【正しい金銭感覚を養うために、親が子どもに伝えたいこと】
① お金は無限にあるものではない
② お金のことを家庭内でオープンに話す
③ お金は労働の対価としてもらえるものである
④ 未来のために何割かは貯蓄をしていくことを実践
⑤ 貯めることを目的とするのではなく、お金は何かをするための“ツール”と考える
次のページからは、貸し借りなどに関する家庭内でのお金のルールや正しい金銭感覚の身に付け方について具体策を聞いていきます。