小学校高学年のDUALキッズは、夏休みに入ると、一人で過ごす時間も普段より増えがち。塾や習い事へ一人で通ったり、子ども同士で近場へ出かけたり、昼食代や交通費などお金を持たせる機会も増えてくるものです。この機に、「お金との付き合い方」について子どもと一緒に考えてみてはいかがでしょうか? 親から子へ伝えたいお金の基本とおこづかいのポイントについて紹介した前回に引き続き、年齢別特集高学年第2回では、お金への興味が高まる高学年、将来の生きる力につながる「お金の教養」についてファイナンシャルプランナー高山一恵さんに聞いていきます。

【年齢別特集 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 高学年のおこづかい 社会への興味が深まる
(2) 子へ伝えるお金の教養 正しい感覚を養うために ←今回はココ!
(3) 私立中学見学 わが子に合う学校選びのポイント
(4) 進学予定の公立中学をリサーチ 不安を解消するには?

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

グローバル時代、お金の教養は子ども時代から身に付けたい

 小学校高学年になると、お金に対する関心が広がっていきます。「お父さんとお母さんのお給料はいくらなの?」「ローンって何?」「うちの家賃っていくら?」……など、とどまるところを知らない子どもの興味に、ドキっとすることもあるでしょう。こんなとき、親はどこまでその疑問に答えてあげたらよいのでしょうか?

 ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんは、「子どもがお金に興味を持つのはとてもいいことです。日本のご家庭では子どもにお金の話をすることに対して抵抗感があるという方もいますが、アメリカでは『お金は労働の対価として受け取るもの』という教育が早い段階からされています。これからの人生100年時代、グローバル社会に生きる子どもたちには欠かせないお金の教養。高学年のお子さんであれば、これは家の中だけの話なのか、外で話していいことなのかは自ずと分かってくるもの。ある程度の分別がつくようになったら、自分を取り巻くお金の流れを知ることは大事なことでしょう」とアドバイスします。

 共働き家庭はパパとママ双方から、働きながら子育てをする実生活と結び付けながら、子どもに“労働と対価”についての説明をする機会をつくりやすい環境。

 「家や車、家電などがいくらするのか?といった話が日常の中で出てきたときには、各ご家庭が伝えられる範囲の中で概算額を答えてあげてほしいです。そのうえで、『お父さんとお母さんが働いて、貯めたお金の中から買えるんだよ』『ものやサービスにお金を使うと、貯めたお金は減るんだよ』『欲しい人がたくさんいて、売りたい人が少ないと値段が高くなるんだよ』といった基本的な仕組みを分かりやすく教えてあげるといいでしょう」

 こうした日常の積み重ねによって、お金の概念や単位への理解が深まり、教養は感覚的に身に付いていく、と高山さん。

 「生活とお金を結び付ける視点を身に付けることで、世界の見え方も変わりますし、物事の背景に気づくことができるようになります」

 「また、子どもだけでなく親も、子育てを通じてお金の“生きた”使い方について改めて学び直す意識を持つことは重要です。お金は自分の生活を構成するものである一方、将来の夢を実現し目的を達成するときにも必要なもの。自分なりの幸せを実現するには、身の丈に合った暮らし方をしていくことはもちろん、将来のための貯蓄や可能性を広げる自己投資をしていくことも大切です。普段の共働き生活の中から、“夢を実現するためのツール”としてのお金の使い方についても親から子へ伝えてもらえるといいですね」

【正しい金銭感覚を養うために、親が子どもに伝えたいこと】

① お金は無限にあるものではない
② お金のことを家庭内でオープンに話す
③ お金は労働の対価としてもらえるものである
④ 未来のために何割かは貯蓄をしていくことを実践
⑤ 貯めることを目的とするのではなく、お金は何かをするための“ツール”と考える

 次のページからは、貸し借りなどに関する家庭内でのお金のルールや正しい金銭感覚の身に付け方について具体策を聞いていきます。

<次ページからの内容>
・ 子ども同士の「お金の貸し借り」 家庭のルールを決める
・ 他の家と比べて不平不満を言う子にはどうする?
・ 子どもの塾や習い事代 家の中のお金を“見える化”する機会を持つ
・ キッザニアや起業家体験教室は、お金について学べる良い機会