安心して子育てができるように、まずは小児科医の鈴木徹郎先生から現状やポイントを教えていただきます。
交通事故件数は7歳児が突出。こんな不慮の事故に注意
驚くべきことに、日本人の1歳から4歳までの子どもは、他の先進国の同年齢の子どもに比べてダントツに死亡率が高く、同年齢の死因の第2位は「不慮の事故」です(厚生労働省、人口動態統計より)。防げるはずの事故による子どもの死を減らしていきたいものです。どんな事故が考えられるか、見ていきましょう。
窒息
食べ物による窒息で死亡する子どもの数は、この5年間で103人、その半数が0歳児です。1年間で20人、つまり毎月1~2人の子どもが食事中の窒息で亡くなっていることになります。原因として多いのは、マシュマロやゼリー、団子などです。
私も3人の子どもの父親ですが、つい先日、2cm角のメロン片を与えてヒヤッとした経験をしました。豆やミニトマト、巨峰など丸くて表面がツルッとしたものは、リスクが高くなります。遊びながら、歩きながら、食べさせないようにし、与えるときは小さく切ります。食べ物を食べるということは、命と隣り合わせであるという認識は持っていたいものです。
ピーナツ、枝豆、節分の豆、アーモンドは肺に入りやすいうえに、化学反応を起こし、肺炎になりやすく危険です。早い年齢から焦ってあげるものではありません。
交通事故
昨年までの5年間で歩行中に交通事故に巻き込まれて死亡したり、けがをしたりした15歳以下の子どもは4万7千人。その中でも7歳児が突出して多く、7823人でした。小学校に入学して行動範囲が広がる一方で、7歳はまだ危険を予測する能力が備わっていません。車の音を聞いても危険とは思えないことが多いのです。
死亡数は、男児が女児の2倍。男児のほうが飛び出してしまう傾向にあるようです。
私の子どもも、昨年入学したばかりです。最初の1週間は通勤の時間を1時間遅らせて、登校の見守りをしました。その後も、繰り返しチェックをしています。仕事も家事も大事ですが、何度も子どもに付き添って登校する時間を確保しています。物陰や車の音など、大人には危険が予知できても、子どもには分かりません。そこを伝えましょう。
転落
先日、入院中の2歳の子どものベッドの柵が下がっていて、ヒヤッとしたことがありました。入院という特殊な環境では、治療もさることながら、転落にも注意が必要です。
子どもが小さいうちは目を離したら落ちるかもしれないという心構えと、ソファなどに登れない工夫をしておく事前準備が大切です。ベビーカーのベルトなども、その都度忘れずにカチッと締めるようにしましょう。
公園などによくあるつり橋は、子どもは楽しくてどんどん進んでいくことでしょう。丸太の間隔、チェーンにゆがみや異常はないか、ひと通り親の目で見ておくことが大切です。
やけど
「便利さと危険は隣り合わせである」と最近よく思います。ポットに代わって手軽なケトルが普及し、ヤケドの報告が増えています。子どもは親の持ち物を絶えず触りたがりますので、普段は手の届かない所にあっても、床などに置けば事故につながります。ケトルに限らず、大人にとって都合の良いものは、子どもにとって危険、という意識を持つとよいと思います。
棒状のものに注意!
歯ブラシをくわえたままソファの上からジャンプして、口の中を切ったり、ストローで口の中の粘膜を傷つけたりという事故が2~3歳の子の間で相次いでいます。棒状のものは凶器になり得るという認識を!知っておくだけで注意の仕方は変わってきます。
果物や野菜のままごとセット
面ファスナーなどでつながっていて、包丁で切って遊べるおままごとセット。つながっているときは大きいですが、切るとちょうど窒息につながる大きさになり、凶器に変わります。内側から空気の入り口を塞ぐ窒息は、重い障害を残すこともあります。