繰り上げ返済と住宅ローン控除、どちらを優先したほうがトクか

 住宅ローン控除とは、最大10年間、年末時点での住宅ローン残高の1%分の税金が安くなる制度です。

 つまり、残高が多いほど住宅ローン控除で減額される税金額は多いため、繰り上げ返済で住宅ローン残高が減ると、節税メリットも少なくなってしまうというわけです。

 繰り上げ返済するのなら早いほうが利息も浮くし、返済も早く終わるけど、ローン残高が減ると、住宅ローン控除も減ってせっかく税金が安くなるチャンスを最大限生かせない……ということでどちらを優先したほうがおトクになるのか、悩む方は少なくありません。

 そこで、ここでは返済期間の短縮は置いておき、経済的なメリットについて、金利1.5%と0.6%(固定金利)の2パターンで試算してみました。

 条件はいずれも借入金額は2000万円、35年返済、当初10年間の金利は変わらないものとし、住宅ローン控除は、全額利用できるものとします。また、繰り上げ返済は、いずれも期間短縮型を選択するものとします。

■ローン金利1.5%の場合

 コツコツ100万円を繰り上げ返済すると、途中の住宅ローン控除の金額は減るものの、10年後にまとめてドーンと繰り上げ返済するよりも39万円オトクになることが分かりました。

 では、金利0.6%の住宅ローンではどうなるでしょうか。

■ローン金利0.6%の場合

 金利0.6%で借りているときは、コツコツ繰り上げ返済するよりも、住宅ローン控除が終わる10年後にまとめてドーンと繰り上げ返済したほうが、21万円オトクです。
 先ほどの金利1.5%とは反対の結果になりました。

 住宅ローン控除は残高の1%分の税金を減額する制度だから、金利1%以上で住宅ローンを借りている場合は、住宅ローン控除の減少額よりも、繰り上げ返済の利息軽減効果のほうが高いのです。

 一方、金利1%よりも低い住宅ローンを借りていて、住宅ローン控除を最大限活用できている場合は、一般的に住宅ローン控除が終わってから、まとめてドーンと繰り上げ返済したほうがおトクになるといえそうです。

 ただし、借入金額が多く、所得税や住民税の減額になる住宅ローン控除のメリットを最大限受けることができていない場合は、金利が低いからといって住宅ローン控除のほうが必ず有利とは限りません。